書評:『ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け』

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日本語版編集から:上の写真は、『ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け』の原書『FAB』のものです。

MIT Center for Bits and Atomsの所長を務める Neil Gershenfeld(ニール・ガーシェンフェルド)が 「How to Make (almost) Anything」("ほぼ" あらゆる物を作る方法)という講義を行ったとき、受講生のあまりの多さに仰天した。とくに驚かされたのは、そのほとんどが理論的研究に関する授業を取っておらず、学歴条件も満たしていなかったにも関わらず、物作りを夢見ていた学生たちであったことだ。学生たちはみな、センターのFab Lab(ファブラボ)で作ろうと、突飛なプロジェクトを持ち込んでいた。ある学生は、止めるためには格闘しなければならない目覚し時計のアイデアを持っていた。別の学生は、オウムがインターネットを閲覧できるようにする方法を探ろうとしていた。また他の学生は、欲求不満の叫びを保存する方法を見つけようとしていた。

世界中に存在することをガーシェンフェルドが知るに至る、人々のこうした物作りへの情熱が、この本の核心だ。人は、自分が必要とするものを自分でデザインして作りたいと考える。しかし、人間が大昔から抱いてきたこの欲求は、職人が手作りするよりも効率的に継続的に作ることができる工場によって、多かれ少なかれ抑圧されてきたのだが、不幸なことに、その効率化された方法では、利用者の個人的な希望や要求をうまく満たすことができない。わずかに形を変えることで、ある程度は我慢させられるだろうと利用者は侮られてきた。そこに、再び自分で作りたいという欲求が甦り、物作りを望んでいた人々に、それまで工場だけが可能だった物作りの機会を、パーソナルな製造マシンが与えることになった。

簡単だが重要な歴史を振り返ったあと、ガーシェンフェルドは本の核心に入る。変化に富む数々のプロジェクトを通して、個人や組織がパーソナル製造マシンを使って周囲の世界に与える影響力を紹介する。

ガーシェンフェルドは、Ken Paulの話を紹介している。彼はレゴのマインドストームを使って、USPS(米国郵政公社)の郵便の取り扱い方を向上させる方法の試作品を作った。Mel Kingは、ボストンのスラム街に住む子供たちのためのファブラボを設立した。ガーナのある村の村長、Kyei Amponsahは、貧困に苦しむ村の住民のために、発電用のテスラタービンや冷房用のボルテックスチューブなどの道具をファブラボで作りたいと考えた。こうした人々の話をちりばめ、ウォータージェット、レーザーカッター、CNCルーター、3Dプリンターなどといったパーソナル製造のための技術について紹介している。彼はこれらの技術について "Hello World" の例を使って解説し、これらの装置の長所と限界に光を当てている。

「Fab」は5年前に書かれた本だが、それはCupCake CNC以前、さらにそれ以前に生まれたRepRap前の時期だ。そんなに昔に書かれたこの本の内容は、今の時代に即しているのだろうかという疑問が生じるが、完全に即している。話題は非常に今日的であり、事実、私がこれを書いている今、MakeとWiredの最新号(英語版)には、それぞれの特集記事でこの話題が取り上げられているほどだ。

技術的な側面はそれほど重要ではない。物作りのムーブメントは、技術が主導しているのではなく、社会的な変化がもたらしているからだ。「Fab」ではこれを、解決策は大企業が与えてくれるという私たちの考え方に対する反動であると解説している。この概念は、つねに、いかなる道具にも勝る。

FAB Neil Gershenfeld 著
出版社: Basic Books ISBN: 0465027458

日本語版編集から:日本語訳は『ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け』ニール・ガーシェンフェルド著、糸川 洋訳、ソフトバンククリエイティブ 、2006年発行。

- John Baichtal

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Mar 17, 2010 03:00 AM
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