Archive: Makers
January 20, 2012
黙想 ── Makingに飛び込む

あなたが自分はMakerだと気づいたのは、いつの時点だった? 創作の心は、何かを学びたい、仕組みを知りたい、改造したいという飽くなき欲求から芽生える。この衝動が早くに目覚める人もいれば、遅い人もいる。あなたは、いつも壊れた自転車を直していた子供だっただろうか。または、家族が買った初めてのパソコンにはまって、何年か後にフィジカルコンピューティングを使って複雑なガジェットを作れるようになるまで、ずっとパソコンにしがみついていた子供だっただろうか。
それとも、すぐに自分のオモチャを分解してしまう子供だったかも。それは破壊衝動とは違う。むしろ、再び組み上げることを目的としていたはずだ。これはイゴンとヒーマンでチームを組ませたようなものだ(編注:イゴンは『ゴーストバスターズ』でハロルド・ライミスが演じたイゴン・スペングラー博士、ヒーマンは80年代のアニメ「マスターズ・オブ・ユニバースの」のスーパーヒーロー)。そして彼らに、グレイスカル城とゴーストバスターズの基地の両方を同時に冒険させるようなものだ。余計なものをすべて取り去ってみれば、それは何かをひとつに結合したり、作り変えることを目指すものの、滅多に成功しない情熱的な挑戦というわけだが、安売りで買ってきたフィギュアの腕が、まったく別のフィギュアの胴体にぴったりはまったとき、部品の中には、プラスティック固有の宇宙での共通性を持つものがあるのだと大発見をして感銘を受けることもある。
そんなMakerの心を自然に意識できていた人もいるだろうが、大人になってから気づく人もいる。物作りの欲求は、特別なときに立ち上がるために、心の中でじっとしながら、学校や社会から植えつけられた数々の技能の隙間から、純粋な創造の目で機会を覗っている。バンド演奏に興じているときは、アンプの仕組みを学んだり、本番直前に断線したコネクタをハンダ付けしたりする。そうした必要に迫られた状況から、作ることの喜びやDIYの満足感を知り、もっとたくさん体験したいと思うようになる。
Makerムーブメントの素晴らしさは、物作りの心を目覚めさせて、すべての人々の中にMakerを育てるところにある。この数年間、私たちは、ある「再生」を体験してきた。それは、Makerだった私たちの遠いルーツへつながる消えかけた線を、再びはっきりと浮かび上がらせるものだった。もう、それによって責められることはない。逆に称賛されるのだ! コンテンツ製作や改変は、インターネットの世界で脚光を浴びることとなったが、それには、創造や改変の一般化そのものが大きな要因になっている。自分のアイデアをみんなと共有できる基盤が与えられれば、そのアイデアは、たちまち、より優れた大きなものへと膨らんでいく。「機械いじり」の洗練された形だ。
今や、オモチャの分解の大人版としてハードウェアハッキングがあり、システム化を夢見た子供時代の欲求の延長線上にArduinoのプログラミングがある。今になってやっと、冒険は、PCでテキストアドベンチャーを作ることから、現実世界のコントロールへと発展した。実質的に、電子の分野でも工学の分野でも、あらゆるタイプの技術は、非常に簡単に他の技術に統合できるようになっている。
この時代に生まれて、今これができていることは、なんと幸運なことだろう。私たちはみな、いきなり作り始めたか、分解から創造に移行したかのどちらかだ。あなたはどっち派だった? そしてどうなった?
- Michael Colombo
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Jan 20, 2012 01:00 AM
DIY Projects, Makers, Toys and Games |
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January 18, 2012
Best of MAKE: クラウドファンドの年
Makeでは一般的な用語を使うべきなのだろうが、今のところ、我々にとって「クラウドファンド」は、基本的に「Kickstarter」と同義語だ。Make Onlineのアーカイブだけでも、Kickstarterで検索すると100本の記事が出てくる。初めて記事にしたのが2009年10月だった(MakerBeamのプロジェクト)。これに対抗できるメジャーなクラウドファンドのサイトとしてMakeで大きく扱われたのは、IndieGoGoだけで、記事の数は8本。そのうち、当時資金を募集中のプロジェクトとして直接リンクを張ったのはひとつだけだった(結果的に目標額には達しなかった)。
というわけで、建前はともかく、この記事は、Makeが見たKichstarterの1年という内容になる。2009年、マンハッタンに設立されたKickstarterは、その年、Make Onlineに掲載された記事は4本だったが、2010年には33本となり、2011年は62本を数えた。これには、ちょっと触れただけのものや、プロジェクトへのリンクがないものは含まれていない。また、特定のプロジェクトの続報記事も除かれている。2011年、Makeには24のKichstarterプロジェクトが紹介された。そのうち、Greg LeyhのLightning Foundryと、Eric StrebelのSolar Voxを除くすべてで、出資金が目標額を越えた。
もっとも多くの資金を集めたもの

2011年最大のKickstarterは、我々が定めた6つの基準のうち3つでトップとなったBrook DrummのPrintrBotで決まりだ。500ドルのFDM/FFFプリンタキットで、2011年の12月17日までに830,827ドルを集めた。この年、Makeが記事にしたプロジェクトの中で最高額であっただけでなく、Kickstarter史上2番目の額となった(Wikipedia調べ)。
- 830,827ドル -- Printrbot: 初めての3Dプリンタ (Brook Drumm) -- Makeの記事
- 259,293ドル -- HexBright オープンソースの懐中電灯(Christian Carlberg) -- Makeの記事(英語)
- 131,220ドル -- The Oona: スマートホン用スタンド (Sam Gordon) -- Makeの記事(英語)
- 114,796ドル -- Romo- スマートホンのロボット(Romotive) -- Makeの記事(英語)
- 96,248ドル -- Trebuchette - はめ込み式卓上投石機(Michael Woods) -- Make の記事(英語)
もっとも驚きだったもの

私が言うところの「驚き」とは、目標額をどれだけ超えたか。たとえば、PrintrBotの目標額は25,000ドルだったが、最終的に830,827ドル、つまり3300%となった。額もトップなら、超えた額もトップだ。その次は、Andrew HydeのRecord Monsters(上の写真)だ。レコード盤をレーザカットして虫や動物のモデルを作るという比較的素朴なプロジェクトだ。集まったのは15,000ドルに過ぎないが、目標額が500ドルだったと聞けば驚くだろう。
- 3,323% -- Printrbot: 初めての3Dプリンタ (Brook Drumm) -- Makeの記事
- 2,950% -- Record Monsters - レーザカットで作るレコード盤パズル (Andrew Hyde) -- Makeの記事(英語)
- 1,312% -- The Oona: スマートホン用スタンド (Sam Gordon) -- Make の記事(英語)
- 836% -- HexBright オープンソースの懐中電灯(Christian Carlberg) -- Make の記事(英語)
- 739% -- Project ShapeOko: 300ドルで作れる CNC マシン(Edward Ford) -- Makeの記事
ひとりあたりの出資額がもっとも多いもの

PrintrBotが460ドルでトップになった3つめのカテゴリー。後援者の人数で総出資額を割った平均出資額だ。第2位はEric Aganのisostick。ハードウェアレベルで光学ドライブをエミュレートできるUSBメモリだ。これがあれば、ネットブックなどのデバイスにOSをインストールするためにUSB外付け光学ドライブをいちいち持ち歩かなくてもよい。去年の7月、私も isostick に225ドルの出資を行った。つまり、159ドルの平均額よりも多く貢献しているわけだ。このプロジェクトに関するその後の経過については、この記事の最後を見てほしい。
- 459.53ドル -- Printrbot: 初めての 3D プリンタ (Brook Drumm) -- Makeの記事
- 158.97ドル -- isostick - USBメモリの中の光学ドライブ(Elegant Invention) -- Makeの記事
- 122.56ドル -- The Lightning Foundry(Greg Leyh) -- Makeの記事(英語)
- 108.11ドル -- Solar Vox パーソナル USB 太陽光充電器(Eric Strebel) -- Makeの記事(英語)
- 99.65ドル -- Romo- スマートホンのロボット(Romotive) -- Make の記事(英語)
ひとりあたりの出資額がもっとも少なかったもの

このカテゴリーのトップ2つは、奇遇にも同じカメラのレンズキャップをなくさないためのシステムだった。ひとつは私自身が記事を書いた。もうひとつはAdamが書いている。レンズキャップに関しては、多くの写真愛好家に共通する、よほど大きな問題になっているようだ。またこのカテゴリーには、2つのアート系プロジェクト(Matthew Goodman の Playa Time-Laspムービー と、Sandy Antunesの宇宙カリオペ)が含まれている。このランキング全体では、このほかすべてが技術開発系のプロジェクトで占められていることを考えると、興味深い。
- 21.60ドル -- カメラレンズのキャップホルダ(Mark Stevenson) -- Makeの記事(英語)
- 26.09ドル -- The Nice Clip - ユニバーサル・レンズキャップホルダ(Nice Industries) -- Makeの記事(英語)
- 32.04ドル -- Playa Time-Lapse 2.0(Matthew Goodman) -- Makeの記事(英語)
- 33.52ドル -- The Oona: スマートホン用スタンド (Sam Gordon) -- Make の記事(英語)
- 36.58ドル -- Capturing the Ionosphere: 電離層カリオペ(Sandy Antunes) -- Makeの記事(英語)
もっとも後援者が多かったもの

私は2011年の「総合次点」として、Sam GordonのOona: 自由に組み立てられるスマートホンスタンド・システムを推挙したい。PrintrBotと同様、我々が考えた6つのカテゴリーのなかの「もっとも多くの資金を集めたもの」と「もっとも驚きだったもの」など4つのカテゴリーで上位5つに入っている。しかし、これが一位に輝いたのは「後援者の多さ」ただひとつだった。「ひとりあたりの出資額がもっとも少なかったもの」でも4位に入っている。後援者ひとりの平均出資額は33.52ドルだ。
- 3,915 -- The Oona: スマートホン用スタンド (Sam Gordon) -- Makeの記事(英語)
- 3,156 -- HexBright オープンソースの懐中電灯(Christian Carlberg) -- Makeの記事(英語)
- 1,876 -- Trebuchette - はめ込み式卓上投石機(Michael Woods) -- Makeの記事(英語)
- 1,808 -- Printrbot: 初めての3Dプリンタ (Brook Drumm) -- Makeの記事
- 1,152 -- Romo- スマートホンのロボット(Romotive) -- Makeの記事(英語)
もっとも意欲的だったもの

世界最大のテスラコイルで自らの記録を塗り替えようとしたGreg Leyhは、Makeが紹介した Kickstarterプロジェクトの中で群を抜く目標額を掲げていた。第2位のプロジェクトの7倍以上だ。ご想像どおり、目標金額を集めることはできなかった。12月10日の締め切り時点で1割をわずかに超える程度に止まった。しかし、Gregの大いなる野望には拍手を贈りたい。じつに途方もない計画だったからね。
- 348,000ドル -- The Lightning Foundry (Greg Leyh) -- Makeの記事(英語)
- 48,000ドル -- Trebuchette - はめ込み式卓上投石機(Michael Woods) -- Makeの記事(英語)
- 35,000ドル -- Solar Vox パーソナル USB 太陽光充電器(Eric Strebel) -- Makeの記事(英語)
- 33,000ドル -- 日本の放射能探知ハードウェアネットワーク(Marcelino Alvarez) -- Makeの記事(英語)
- 32,000ドル -- Romo- スマートホンのロボット(Romotive) -- Make の記事(英語)
これまでとこれから
2011年にMakeで紹介したKickstarterプロジェクトは24件のうち、目標額かそれ以上の出資金を獲得できたのは21件(87.5%)で、失敗したのは3件だった。 Wikipedia(英語)によれば、全体の出資金獲得率は44%とのことだが、だからと言って、これは私たちが有望なプロジェクトの発掘に長けているという意味にはならない。大抵は、人気が高まったプロジェクトだけが、私たちのレーダーに引っ掛かるからだ。私は個人的に、Kichstarterで目標額を達成したプロジェクトだけを紹介するよう決めている。それは、まだ目標額に達していないプロジェクトを記事で紹介して欲しいというスポンサーからの多くの申し入れに対して、何を載せるべきかと思い悩む気苦労をなくすためだ。
本当に支援したいと思ってプロジェクトに出資する側に話を移そう。私の場合、Kickstarterに出資したことが1回だけある。上にも書いたがEric Aganのisostickだ。8月22日に目標額を達成したのだが、32GB isostickはまだ送られてこない。期限は確約されていないし、事業が始まったこともわかっている。Ericはまめにプロジェクトの進行状況を報告してくれるし、最初の興奮はやや冷めてきたものの、出資したときの気持ちは変わってないし、かならずその報酬を受け取れると確信している。
しかし、これがいいか悪いかは、人によって違うようだ。クラウドファンド革命の興奮の裏には、どうしても醜聞や反動がついてまわる。私がKickstarterに感じている問題は、現在の形では出資者と顧客との線引きが曖昧になっているという点だ。Kickstarterに出資を決めた人たちの大半は、顧客感覚だと思う。しかし、Kickstarterの利用規約には、出資者は投資家であると明記されている。出資に見合う報酬がかならず得られるとは限らないことが表されている。またはそのように暗示されている。それに、プロジェクトの不履行を知らせる明確なフィードバックチャンネルがないことも加味して、私はこう考える。お金に関する問題に共通することだが、健全な懐疑心は常に持っておくべきだ。
Kickstarterに関する体験から意見がある方は、どんどん知らせてほしい。
- Sean Ragan
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Jan 18, 2012 12:00 AM
Maker Pro, Makers, Online |
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January 16, 2012
Zero to Maker:自分を説明するということ
ちょっとヤル気のなかったMaker、 David LangがMakerカルチャーに身を沈め、我らの仲間、TechShopの寛大なるご協力のもと、できる限りのDIYスキルを習得していく様子をレポートします。彼は、何を学んだか、誰に会ったか、どんなハードルをクリアしたか(またはしなかったか)など、奮闘努力のレポートを連載します。- Gareth
年末休暇。家族といっしょに、素直な気持ちで自分を振り返ることのできる唯一の時間だ。とくに、この一週間は輝いていた。
何年間も、家族から離れて大陸の反対側で暮らしてきた私は、年末の休暇に自分が何を考えて生きてきたかを報告する機会でもある。しかし今年は、私の物作りの冒険を説明するうえで、これまでにない困難を味わった。このZero to Makerコラムのことで、弟に「で、兄さん、ライターの仕事はどうなの?」と聞かれたとき、けっこう難しいものだと感じたのだ。
「順調だよ!」と私は答えた。弟が私の記事を読んでくれていたことを知って、本当にうれしかった。「すごく勉強になるし、本当に楽しいよ。いちばん新しいのは読んだ?」
「ああ、すごくよかったよ」と彼は答えてくれた。彼の声には、好意的な驚きと、わずかな感動が込められていた。
「そう、ありがとう。ボクが今やってるサイドプロジェクトの話は読んだ?」と私は尋ねた。それがとても気になっていたのだ。読者、とくにMakeコミュニティの外の人たちの反応がいまひとつだったからだ。だから、ぜひともこの機会に弟に聞いておきたかった。
「あ......、いや、じつはまだ読んでないんだ」と彼は言った。
弟の声から力が抜けていく。どうやら私に気を遣っておもしろいと言ってくれていたようだ。そこで私はさらに問い詰めた。「そうか。じゃあ、どの記事を読んだんだ?」
「いやその......最近は読んでないんだよ。読もうとは思ってたんだけど。ときどき技術的に難しい話になるだろ。そうなると、ボクは付いていけなくて」
おもしろい。技術的に難しいって? そんな風に考えたこともなかった。もちろん、弟はただ言い訳をしているだけだとは思うけど、ちょっと真剣に考えてみるべきことだとも感じた。私は母にも意見を求めた。すると母も、わけのわからない技術用語が多すぎると感じたそうだ。
これは効いた。大打撃とまではいかないが、私は仲間内でいちばん技術にうとい人間という立場に甘んじていたようだ。少し考えなければならない。初心者Makerとして、Makerの世界を集中的に嵐のように旅をするという特権に恵まれた私は、その体験を、同じような初心者Makerにもわかるように翻訳して伝えなければならなかったのだ。
この数カ月間の自分の旅を振り返ってみた。最初の記事を読み返し、いちばん新しいものと比較した。弟と母の言うことは正しかった。私の文体や言葉の選び方が違う。これでハッキリした。「CAD」や「CNC」とは何の略語なのか、とか、アクリルはレーザーカッターでベクターカットできるが金属はウォータージェットが必要だとか、Makerになる前の自分だったら完全につまづいているところだ。私が学んだことのうちどれだけが、単に語彙を増やすことではなく、知識として役だったのだろうか。
このコラムを書き始めるまで、そして物作りの集中講座を受けるようになるまで、私はいつも意識していた。Maker Faireに何度も参加し、Make Onlineも読んだ。それでも、やっと専門用語に慣れたてきたというレベルだった。Maker Faireのことを初めて聞いた2009年のころのことを思い出してみた。誰かとの会話で、参加するよう勧められたのだ。そのとき、「Maker」という言葉の意味がわからず、二度も聞き返してしまった。それが今では、Maker Faireとは何かを何度も何度も説明する立場になったのだが、何度説明しても、その魔力を伝えることができない。実際に見てみなければ、理解できないことはある。
英語の中で、「make」という単語は69番目によく使われる言葉とされている。しかし、2009年以来、この言葉は私にとってまったく違った意味を持つようになった。この「make」のもうひとつの定義をみんなに説明できるよう、私は一層の努力しなければならない。
そこでみなさんに質問。あなたの「making」の定義とはなんですか?
過去の記事:Zero to Makerの旅
- David Lang
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Jan 16, 2012 12:00 AM
Education, Maker Faire, Makers |
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January 4, 2012
ニューヨークでできれば、どこででもできる

私の住居兼仕事場は、ニューヨーク市内のウォールストリートから2ブロックほど離れた場所にあるので、ここ数ヶ月は面白くて感動的だった。普段のニューヨークシティの熱狂よりも、さらに熱かった。私はMakeで仕事をするかたわら、オープンソースエレクトロニクスの工場、 Adafruit Industriesの経営を手伝っている。2008年の金融危機の際に、金融関係の連中が逃げ去ってしまったため、私たちはとても広いスペースを借りることができた。それから、この地域の激しい変化を見続けてきた。そこには、いい変化もあれば、「チャレンジ」と呼びたいものもあった。この数年間、私は同じ質問をよく受けた。「なぜニューヨークなんだ?」と。そして、「なぜわざわざ、ここでビジネスを? こんなに住みにくくて物価が高くてクレイジーで奇っ怪で殺気だった街で」と言われる。さらに、「ベガスに来いよ。無税だぞ!」とね。そこが今回のテーマ、「ニューヨークでできれば、どこででもできる」につながる。ここがなぜ、今の私がビジネスを行うのに最良の街なのかを考えてみたい。みんなは、なぜそれぞれの街でビジネスをしているのだろう。個人事業から大勢のメンバーを抱える会社まで、いろいろな人の意見を知りたい、というのが今回のコラムの目的だ。では始めよう。
「ニューヨークで一旗揚げれば一人前だ」 マーク・トウェイン
速さ
私がニューヨークに落ち着いたのは5年前だ。国中を渡り歩いた末に、ここでひとまず旅を終え、新たなスタートを切ったわけだ。私がニューヨークで最初に働いた場所は、末期のドットコム企業だった。仕事のペースが狂乱的で、友達は会社の同僚しかいなかった。それほど長く私たちは共に働きづめだったのだ。そして私は気がついた。それは今でも変わらない真実だ。「この仕事が好きだからニューヨークにいる」ということだ。めちゃくちゃ厳しくて、暴力的で、できることはなんでもやる。この街へは休みに来たのではない。弾けに来たんだ。
忙し好きの人には、ニューヨークが最高の街──みんながみんな、ずーっと動いてる。この街は、ものすごく新陳代謝が激しい生き物だ。そういうのが苦手という人は、ここに来るべきじゃない。Makerビジネスにとってニューヨークが最高の街だと私が思う第一の理由は、この巨大な塊の一部分になったときに得られるエネルギーだ。その流れに乗れば、ときには自分自身も追いつけないほどのものすごいスピードで突き動かされる。しかし、何か事を成し遂げるには、そのスピードが必要だったりもする。
ここでは、街角のコーヒーの屋台からショーの出演を目指すアーティストまで、あらゆるものが競争だ。その刺激で活気づく人でなければ、たしかに、生きてはいけない。日々の仕事に競争を必要としない人もいる。でも私には必要だ。奇妙に聞こえるかもしれないが、100万人が暮らすこの街で、完全に孤独を保つこともできるのだ。
人々
有能にして多才で仕事が好きで、創造性にあふれ、自分の仕事を愛している人には、なかなか出会えないものだけど、ニューヨークには、そんな人間が掃いて捨てるほどいる。ここでは就職なんて大した問題ではない。意欲的に活動しているアーティストやデザイナーやミュージシャンや作家がたくさいいる。彼らはみな、いくつもの仕事を並行して行っているのだ。ウチの発送部門のヘッドも、彼が書いた演劇をどこかで上演するかもしれない。本業のほかに情熱を燃やすものがあることは、ここでは弱みではない。むしろ強みになっている。
自分がやりたいことをやるために、安定した仕事を求める人もいる。それも正しい。なにせ金のかかる街だからね。私はよくこう言う。ニューヨークを歩けば1時間ごとに20ドル消えると。ここでは、学生でもアーティストでも作家でも、誰でも、額に汗して働くことの好きな人が生き残れる。賢明に働くことで足場を築けるのだ。
Makerの世界には、物の高速プロトタイピングというものがあるが、私の場合、物を作る前に、高速で自分のアイデアがまともかどうかをチェックしたいと思うことがある。そんなとき、急いでアイデアを発表して、すぐに大勢の人に見てもらえる環境はニューヨークにしかない。私は人見知りをしないので、誰とでも会話を始められる。どんなことをやろうとしているのか、どんな問題に取り組んでいるのか、何を学ぼうとしているのか、自分の子供に何を学ばせたいと考えているかなどなど。これは私の思考に大いに役に立つ。フォーカスグループを抱える企業もあるけど、私の場合、ニューヨークの街がそれにあたる。
Makeが小さなオフィスをニューヨークに構えたのと同時に、Etsyがサービスを開始した。私は、Makerムーブメントの成長といっしょに、Etsyが成長していく様子を見続けてきた。物を作ったり、作品の情報を公開したりする人たちばかりでなく、物作りや作品の公開を支援する人たちも大勢いる。これは、物作りの技能を広めるという意味に止まらない。Maker たちをサポートする文化やビジネスを育成することにもつながる。
利便性
私はVC(ベンチャー投資資金)に頼っていないが、これについても触れておくべきだろう。私の会社は、投資を受けなくても(投資の申し出はあったが)利益を上げて成長している。しかし、ニューヨークにはVCが山ほどあり、すでにこの街では、オープンハードウェアのビジネスが3つ、VCによって立ち上がっている。
ニューヨークのVC関係者の間では、いわゆる「Makerビジネス」への注目度は上がってきているものの、ウェブ技術への関心が高い。MakerBotは1000万ドルの投資を受け(以前の記事を見てください)、さらに4~5社の「製造2.0」系企業への投資が決まっているか、すでに投資を受けている。私には投資の必要はないが、誰から、どうやって投資を受けられるのかがわかっているだけでもありがたい。
ニューヨークタイムズ紙には、「ニューヨークが最高」といった内容の連載記事が載っている。いくつか紹介しよう。
Re-engineering New York: More Than a Sci-Fi Dream? ニューヨークのリエンジニアリング:空想科学よりもすごい?(英語)
Technology Footprint: Starting Up in New York 技術の足跡:ニューヨークで起業する (英語)
A Haven for Lovers of the Analog アナログ愛好家の天国 (英語)
On the Move, in a Thriving Tech Sector 活況のテック地区で成長中(英語)
了解を取っていないので、この街のために働いている人たちから聞いた話を、ここに直接書くわけにはいかないが、金融以外の職種でこの街の収入源を多様化するための大きな活動が行われているとだけ言っておこう。これは大相場だ。だけどそれは、破壊をもたらすこともある。よく目を凝らして見れば、すごく大きなことが起こりつつあるのがわかるはずだ。
NYCEDC(New York City Economic Development Corporation:ニューヨーク市経済開発公社)が発表した地図、「ニューヨーク市の高速プロトタイピングと製造のためのスペース」(PDF)を見て欲しい。
ハッカースペース、3Dプリントサービス、ギャラリー、学校......私たちは、新世代の産業革命の中で、物作りのハブとなる道を歩んでいる。
世界の中心
みんなニューヨークに来る。実際に、みんなのほうから来てくれるのだ。去年は、仕事に集中したかったので旅行は一切しなかった。でもぜんぜん大丈夫だった。私の仕事に関わる人たちがニューヨークに来てくれるからだ。Maker Faire NYCやOpen Hardware Summitのようなカンファレンスや、その他のイベントも含めて、ニューヨークは(思うに)世界の首都なのだ。
この街に住んでいなかったら、なんとしてもニューヨークに来ようとしていただろう。
1日20時間の仕事を数週間ぶっ続けでやっても、まだフィリップ・グラスのライブを聞きにいけたりする。ドア・トゥー・ドアで30分もかからずに、あらゆるショーを観に行けて、博物館に行けて、友達にも会える。私にとって、そこが重要なポイントだ。アイデアを絞り出したり刺激を受け続けるために、みんなが何をしているかは知らないが、私の場合は、よりよい物を作って広く知らしめることを助けてくれる、あらゆる場に顔を出すことだ。世界的な運動(編注:ウォール街占拠運動)のきっかけとなったズコッティ公園も、ウチからわずか2ブロックのところにある。
私のパートナー、Limor "Ladyada" Friedは、その高い技術と志によってメディアの注目を集めている。数ヶ月にわたって、記者たちが訪れて、ショップをビデオ撮影したり写真を撮ったり、彼女にインタビューをしていった。地元のメディアもあったが、飛行機で取材に来たところもある。ニューヨークにはいつもかならずメディアのネタがあり、この街にはほとんどすべてのメディアの発信基地がある。
彼女が注目されるのは、Makerビジネスの成功者ということもあるが、締め切り時間に間に合うようにLimorを取材できて便利だという理由もある。また彼女はKinectのハッキングのような大きなニュースの中心人物であり、この景気のいいエレクトロニクス工場がグラウンドゼロのすぐそばにあるというのも面白い。
もし私たちが他の街に住んでいたら、これほど多くのメディアがわざわざ訪ねに来ただろうか。来るには来るだろうが、こんなに多くはなかったはずだ。
MakerBotは、人気の地元雑誌「Timeout NYC」の表紙を飾り、Colbert Reportにも登場した。MakerBotの創設者、Bre Pettis(シアトルで私と出会い、ビデオの仕事をしてもらうために私がMakeに引き入れた。その後、私と同時期にニューヨークに越してきた)は、MakerBotが成功した理由のひとつに、絶え間ないメディアへの露出があったからだと話してくれた。こんな話はいくつでもある。ここで何かをすれば、それを世界に伝えたいと思っている人もいるということだ。
MAKEに関連して - Maker Faire NYでは、メディアの取材のレベルが違っていた。サンフランシスコのときとは段違いにメディアが多かった。だからMakeはずっとニューヨークにいたいと考えている。ニューヨークだから、マーサ・スチュワートもMaker Faireの宣伝をしてくれた。
制約
部屋が狭いとか、ビジネスに対する新たな市税とか、そういった問題に頭を抱えるときもあった。でも、今は悟りの境地に至っている。空間と金の制約は、仕事の効率化をもたらす。つねに在庫が揃っていて、しかし膨大な経費や無駄に時間を浪費する倉庫を使わずに済ませるには、上手に在庫管理ができるプログラムを書けばいい。この街では身軽に素早く動くことが大切だが、ビジネスも同じこと。現在、私たちの仕事場は3500平方フィートだが、もうすぐ1万平方フィートになる。そこを、細かい部分まで最適化して使っている。どこに何があり、いつ届き、いつ発送されるかを詳細にモニタするシステムも作った。必要に迫られた最適化だ。ウチのスタッフは全員がこうした考え方を持っている。CTOなどは自分でコードも書くが、必要になれば棚も作る。仕事を進めるために、私たちは全員ができる限りのことをするつもりでいる。この街の高い家賃、にいるための「代金」を、他の街の人たちよりも多く払っている私たちは、価値の高い、よりよい物を作り、よりよいビジネスを行うために、余計に働かなければならないのだ。私たちのやることすべてに目的があり、金の使い道は慎重に考えないといけない。しかしもっと重要なのは、いかに「使わない」かだ。
今回のコラムをJay-Zの言葉で締めくくりたいと思う。今後もずっとニューヨークで仕事をしていくかどうか、それは自分にもわからない。でも、今はニューヨークが私を求めている。ときに冷徹で、辛辣で、容赦のない街だけど、ここにいてほしいとニューヨークに頼まれて、嫌とは言えないだろ?
In New York, concrete jungle where dreams are made, oh
There's nothing you can't do, now you're in New York
These streets will make you feel brand new
Big lights will inspire you, let's hear it for New York
New York, New York
(ニューヨーク、夢が生まれるコンクリートジャングル
できないことがない。ここはニューヨークだから
街を歩けば、生まれ変わった気分になれる
大きな光が刺激をくれる。ニューヨークに拍手を贈ろう
ニューヨーク、ニューヨーク)
Jay-Z, Empire State Of Mind
- Phillip Torrone
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Jan 4, 2012 12:00 AM
Makers |
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December 22, 2011
エコノミスト誌に載ったMakerムーブメント
Image by Andrew Kelly
『The Economist』最新号に、MakerやMakeやMaker Faire、そしてMakerムーブメントの芽生えに関する記事が載った。一流雑誌にこんなタイトルとリード文(下記)が載るなんて、感激だ。しかもビジネス界の権威ある経済雑誌だからね。
More than just digital quilting(単なるデジタルキルティングではない) -- テクノロジーと社会:「Maker」ムーブメントには、科学の学び方や、科学が革新を促進させる形を変える力がある。それは、新たなる産業革命の前兆かもしれない。
オンライン版のこの記事は、署名記事ではないが、非常にわかりやすい明快な文章で書かれている。Makerカルチャーの素晴らしい紹介記事であり、幅広い人々の関心を引くものになっている。
Makerムーブメントは、デジタルカルチャーに対する反応であり、副産物でもある。いくつもの流れが収斂して実現した。新しいツールや電子部品の登場で、物理的世界とデジタルの世界を簡単に安価に融合させられるようになった。インターネット上のサービスやデザイン用ソフトウェアを使うことで、開発や設計図の公開も簡単にできるようになった。毎日、コンピュータの画面で「ビット」と向き合ってきた人たちは、物理的な物を作る喜びに目覚め、異なる分野の愛好家たちと、現実の世界で、直接触れあうようになっている。今はまだホビイストの領域に止まっているが、Makerムーブメントの衝撃は、ずっと遠くにまで響くことになるだろう。
More Than Just Digital Quilting
- Gareth Branwyn
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Dec 22, 2011 01:00 AM
Maker Faire, Maker Pro, Makers |
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December 21, 2011
Zero to Maker:新参Makerの5つの落とし穴(とその対策)

David Langは旅の途中。Maker文化に身を染めようと、DIYのスキルを貪欲に学び続けている。彼の旅を支えるのは、寛容なる相棒、TechShopの面々だ。これはそんな彼の、何を学び、誰に会い、どんな障害を乗り越えた(または乗り越えられなかったか)......といった旅の記録である。- Gareth
Zero to Makerのプロジェクトを開始したころ、私は独学で工業デザイナーになれるかもしれないと考えていた。実際に工業デザインを学ぶための高い学費を払わずにいけるのではないかとね。そして旅を続けるうち、その道のりはとても長いということに気がついた。それでも、最初に描いた夢は持ち続けているし、インターネットを活用し、よい工具が使える場所があり、同好のMakerたちのコミュニティに積極的に参加することで、より安価で短時間に技術を習得できると今でも信じている。そこでもっとも重要なのは、自分が何を知らないかを理解し、真剣に取り組むことだ。
偶然にも私は、オープンハードウェアサミットで、私とまったく同じ考えを持つ人と出会えた。現役工業デザイナーであり、現在ラフバラ大学デザインスクールの博士課程で勉学中のMatt Sinclairだ。彼はサミットの分科会セッションで、DIYリバースエンジニアリングと題する講演を行った。その最初のスライドに映し出されたのが、デジタル製造技術が(ひいては製造技術全般)が、プロの工業デザイナーの役割にどう影響を与えるか、そして、クライアントが自分でデザインできるようになったらどうなるのか、という彼の研究に関するものだった。基本的に、独学工業デザイナーは想像もしない世界だ。

Matt Sinclair のマウスのリバースエンジニアリング・プロジェクト。
そして彼は、初心者や職業訓練を受けていない私たちのようなMakerが見過ごし勝ちな5つの問題点を指摘した。Mattは親切にも、初心者Makerにもわかりやすい言葉で説明してくれた。専門的すぎず、一般的すぎない内容で、むしろ、プロかアマかを問わず、あらゆるMakerが、手を動かして(失敗から)学ぶ過程において、何らかの形で遭遇するものだ。
ではMattの解説を......
公差
コンピュータ式の開発ツールには目を見張るものがあるが、どのマシンもどの方式も、CADで製作したモデルを100%正確に作ることはできない。かならずサイズに誤差が出る。でもそれは普通のことだ。技術者なら、許容範囲の誤差を最初から考慮して設計を行っているからだ。こうした誤差は「公差」と呼ばれている。ひとつの部品の公差に対処するのは簡単だ。少しの試行錯誤で問題は解決する。大変なのは、素材も公差も違う複数の部品が組み合わさったときだ。小さな公差がいくつも積み重なれば大きな誤差になる。その大元の原因を探るのは、じつに頭の痛い作業だ。これは次の問題にもつながる。
使えるサイズ
部品を組み合わせるとき、計画どおりに合わないことがある。原因はどこにあるだろう。部品AのXが大きすぎるのか、部品BのYが小さすぎるのか。まず考えるべきことは、こうした問題は必ず起きるということだ。だから、ここで絶望してはいけない(だから技術者たちは、本番を作る前に試作品を作ってあれこれ確かめておくのだ)。次に考えるべきは、こうした問題を予測して、できれば部品の機能的な重要度順に、サイズのリストを作っておくことだ。こうしておけば問題を回避しやすくなるし、原因を突き止めやすくなる。

Mattのデザインをレンダリングした画像。
仕上げ
3DプリンタやCNCマシンで作った部品の表面仕上げの品質は、射出成形で大量生産された部品には、まだまだ遠く及ばない。それが人目に触れることなく、純粋に動いてくれさえすればよいものならともかく、見た目の美しさが問題となる場合は、きれいに仕上げないといけない。基本的に、それには2つの方法がある。素材を継ぎ足す(何らかの素材でコーティングする)か、削るか(ヤスリで削る、磨く、サンドブラスト、化学スムージングなど)だ。部品のサイズが重要な場合は、どれだけ継ぎ足すか、または削るかをよく考えないといけない。また、あらかじめこうした仕上げ方法を考慮して部品を設計することも大切だ。
[Davidの感想:これはすごく重要。前回の記事ではCNCマシンに熱を上げすぎて、できた部品がうまく合わずに紙ヤスリで調整しなければならなかったことを書き忘れた。本当にすごいことをやってくれるマシンだけど、そのマシンにできないことをちゃんとわかっているのが、熟練したCNCオペレータなんだと思った。]
テスト
作った物をテストするときの唯一のルールは、その製品の適切な使用状況で行うことだ。人命を救うための製品の場合は、棚の上に置いて眺めるだけの製品のときよりも、ずっと激しくテストしないといけない。また製品は、新品でない状態でも使えるようでないといけない。特定の条件下で性能がどれだけ低下するか、長く使っているうちにどのように劣化していくかなども理解しないといけない。ソフトウェアの場合は簡単だ。まずベータ版でテストして、その後もバグフィックス版や更新版で対応できるからだ。実体のある製品なら、ほぼすべてに人に怪我をさせる危険性がある。そこは、「次の改訂版で対処します」では済まされない。
設計のし直し
アマチュアMakerは上の4つの問題を軽視しやすく、そのために、設計のし直しという最悪の事態を招く。私の業務上の経験からも、ひとつの製品の設計を2回やり直すことは珍しくない。つまり、製品化までの間に3回目の設計変更をするかどかという問題だ。3回の設計変更の可能性までスケジュールに入れていないクライアントは、むしろ危険だ。設計変更は当然あることと受け入れないといけない。よりよい製品にするためのチャンスだと考えるべきだ。そうすれば、製品開発の最終段階で気持ちがボロボロになることもなくなる。
Mattと彼の仕事に関する詳細は、彼のサイトを見てほしい。みなさんのコメントをお待ちしてます。
過去の記事:Zero to Makerの旅
- David Lang
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Dec 21, 2011 12:00 AM
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November 17, 2011
物作りの禅と技術(Zen and the Art of Making)


隔週でお届けしているコラム「Soapbox」だけど、今回は、今私が関わっている初心者を支援するプロジェクトで私が書き記したことを紹介したいと思う。このごろ私は、「エキスパート」でいるよりも初心者でいたほうがずっと楽しいのではないかと思うようになっている。
ある時点で、私たちは「エキスパート」と呼ばれるようになるが、エキスパートになりたくないと思うことがある。とくに、エキスパートであることの煩わしさを感じずに、つねに何かを目指して勉強していたいと思うときだ。エキスパートになることは、旅の終わりを意味する。私はこのコラムを「エキスパート・プロブレム」(エキスパートの悩み)という題名にしようと考えたこともあった。しかし、そんな私の考えが、この数週間で変化してきた。そんな私の意識の変革をお伝えしたいと思う。みなさんも、新しいスキルの習得や、常に勉強し続けることへの情熱を持ち続けるコツなんかをコメントしてほしい。
今回は、大好きなこの言葉から始めよう。
最初から始めて、最後まで行って、そして止まれ。
- 『不思議の国のアリス』より
何かを作り始めて、そこで完成するだろうと考えていたところで終わることはまずない。もっと適切な完成時点は別のところにある。初心者のほうが、エキスパートよりも想像力がある。なぜなら、初心者は限界を知らないからだ。子どもも同じ。「お前には無理だ」と言われたことのない子供は、真っ白な心で物に接することができる。初心者は時間契約を結ぶ必要がない。仕事ではないのだから、時間はいくらでもある。初心者(と子供)は、お金よりも時間をたくさん持っている。初心者は名誉を気にしない(まだね)。探求しているだけだ。本当の限界が見えない間は、限界は自分の想像力次第だ。
何かのエキスパートになるのは運命なのかもしれない。専門的な技能が蓄積して年を取るのは避けられないからだ。それでも、子供のころの感覚を持ち続けることは可能だ。ちょっとがんばる必要があるけどね。多くの人が自分の安全地帯を持っているのはそのためだ。自分の工房や作業机などで、私たちはそれを守り続けている。自らをエキスパートであると主張している人は、他のエキスパートから自分の仕事を守ることに終始してしまう傾向がある。インターネットはこの風潮を助長している。私は、初心者同士が助け合える場所が重要だと思う。そして、エキスパートはそこにいて、知識を分け与えたり、どうやって大切なことを発見してきたか(多くの場合、「何を」よりも「どうやって」のほうが重要)を教えることが大切だ。私が知っている最高のエキスパートは、そうした場所の門戸を開いている。しかし、そこへは自分から飛び込まないといけない。
エキスパートは動かない。初心者は常に動いている。エキスパートは、あらゆる段階でその難易度を指摘できるが、初心者は可能性だけを見ている(そしていろいろな失敗の形を経験する)。初心者が得る報酬は、作ったものではなく、物を作り共有したことで得られる人格だ。初心者はたくさんの訓練を必要とする。エキスパートは手よりも口を多く使う。初心者は技能や知識が身につくまでは簡単なものしか作れないが、複雑なものを作ろうとは考えない。エキスパートは、自分の専門知識を誇示しようとあらゆるものを詰め込むので、単純化するのに苦労する。
初心者は自分たちの失敗を語り合う。エキスパートは失敗を隠す。知識とは不思議なもので、人に与えれば与えるほど増えていく。私は、メーリングリストやフォーラムや顧客サポートのメール、Google+、Twitterなどで1日に1000通ほどのメッセージを読むが、エキスパートが失敗を認めたがらないのに対して、初心者は誇らしげに自分の失敗を語る傾向にある。初心者にとっては、障害や失敗や挑戦がすべて目の前の道に並んでいる。初心者は恐れない。ただ作るだけだ。思い通りにいこうかいくまいが、関係ない。初心者は、エキスパートと違ってリスクを避けようとは考えない。
初心者は数々の小さな問題を解決していくことに喜びを感じる。そうした問題は最良の道しるべとなって、作ろうという意欲を引っ張っていく。エキスパートが作るものは、もっと大規模で製作時間も長いため、小さな問題でも大きなダメージにつながる。初心者が解決する小さな問題は、庭に生えた雑草のようなものだ。引っこ抜いた雑草は堆肥にすれば自分の役に立つ。立派な庭園もいいが、小さい庭のほうが楽しいし、入りやすい。フェンスも低いか、まったくないから、大勢の人が自由に参加できる。
エキスパートが集まると、ライバル心の戦いが始まる。ビートルズでさえ、互いに誰がいちばんかを争っていた。エキスパートは互いの小さな小さな違いを掘り返しては、(往々にして)比較したがる。口の利き方だったり、作品名だったり、どんなライセンスを使ったかとか使ってないとか、どっちが正統かとか。初心者は、そんな知識もないので、こうしたことは気にならない。初心者でいられる時間は短いかもしれないが、彼らは自由を謳歌している。初心者は、互いの共通点を見つけ出す。エキスパートは違いしか見ない。エキスパートには知識を独り占めしようとする人が多い。初心者はまだ分け与える知識もないので、互いに励まし合うしかない。エキスパートは、ときに公然と、互いを攻撃し合う。初心者は自力で自分のための挑戦をしているので、その経験は誰にも奪われることがない。初心者には大きな発言力がない。だから互いに傷つけ合うこともない。
特に、Arduinoが広く普及したエレクトロニクスの世界では、初心者の周囲にはいろいろなものが揃っているので、面白いことが起きる。改造したり壊したり、エキスパートでは想像もつかないことをやる。それがいいのだ。破壊的なパワーのある発明品には、最初からそれを目指して作ったのではなく、何かをいじくりまわすうちにできてしまったものも少なくない。そうしてエキスパートになった者は、次の「いじくりまわす人たち」の発明品に地位を奪われる。これが、変わったことをする人々の永遠のサイクルだ。なぜそうなるかと言えば、「ほかにもっといい方法を知らない」からだ。
エレクトロニクスは難しいことだらけだ。しかし、それをひとつずつ解決できる人間も多く揃っている分野でもある。そんな人たちが周囲にいると楽しい。彼らは、挑戦すれば必ず答が見つかると信じている。私は数年前、Hack-a-DayやMakeやAdafruitに便りをくれる人たちの話をすべて残しておこうと決めた。私が集めているのは、何も知らない状態から短期間でいかにして自分が欲しいものを作れるようになったか、いかにして自分の能力に自信が持てるようになったか、といったものだ。そして、すべての人に共通しているのは、ただ自分の心の声に従っただけ、ということだ。あれこれ理由を並べて「無理だ」と言ってくる他人の意見に惑わされなかったのだ。
エレクトロニクスに関する何かを勉強しているときは、「やりすぎ」がわかるまでは、どこが「十分」なのかがわからない。初心者は、何がどうなるかわからない不確実さに満ちている。それは驚きや発見や新しい知識の獲得につながる楽しい部分なのだが、エキスパートは予測できてしまう。初心者は、まだ自分の道を定めていないので、今の自分を受け入れることができるが、エキスパートは硬直的で、同じことを他人に強要したりもする。エキスパートは自分が持っているものを大切にするが、初心者は自分がまだ持っていないものを大切にする。
初心者はエキスパートよりも大きなリスクを負うことができる。ゼロからのスタートで失う物がないからだ。エキスパートは、あるひとつのことでエキスパートになると、別のことでもエキスパートにならなければ、自分の専門性が疑われるのではないかと心配する。エキスパートは、いろいろなことを簡単にやってのける。同じことを何度もやってきたからだ。エキスパートは気が短い(自分に対しても他人に対しても)が、初心者は、やがてそれが簡単になることをまだ知らないから、忍耐強く勇敢だ。エキスパートにはプライドがあるが、初心者はそう易々と自分に嘘をつけない。
今は、物作りを始めるにはいい時代だ。3Dプリンタ、レーザカッター、Maker Faire、ハッカースペース、TechShop、Instructables、オープンソースハードウェア、こんないい時代は今までなかった。いつだって今がいちばんだと思うのが人の常だけど、本当に今は最高の時代だと思う。今、物作りを始めた人は、より多くのことを、より早く、より安く行えて、しかも仲間も多い。どれも新しいものだらけだから、誰もがなかなかエキスパートになれない状態だ。自作コンピュータやウェブの世界もそうだった。Makerの世界では、まだまだみんな模索している段階で、誰かが何かのエキスパートになるのは、ずっと先の話だろう。
私が知っている、才能に溢れ多くの作品を生み出している人々は、たいてい多趣味で興味の範囲も広い。なぜかと尋ねれば、みんな「学ぶことが好きなんだ」と答える。新しい発見や学ぶ喜びは、長年の私の初心者考の核心だと思う。もちろん、何かに熟達することはよいことだ。でも、そのとき旅は終わる。目的地に着いたとき、重要なのは、常に疑問を持てる対象を見つけることだ。科学者やアーティストが、みなエキスパートであるにも関わらず、自分のやっていることを愛し続けられるのは、それがあるからだと思う。いつも目の前に新しいものがあるのだ。つまり、エキスパートでありながら、初心者の心を持ち続けることは可能だということだ。簡単なことではないが、優れたエキスパートはそれを実践している。物作りでも、芸術活動でも、科学研究でも、エンジニアリングでも、いつだって自分の活動の初心者であり続けることができる。すべてを極めるには世界は大きすぎる。
今回はルイス・キャロルで始めたから、やっぱりこれで締めくくっておこう。
アリスは分かれ道にさしかかった。
「どっちへ行けばいいの?」とアリスは聞いた。
「どっちへ行きたいんだ?」とチェシャ猫が答える。
わからないわ」とアリス。
「じゃあ」と猫。「どっちでもいいじゃないか」
- 『不思議の国のアリス』より
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Nov 17, 2011 12:00 AM
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November 14, 2011
Mitch Altmanのエジプトハッカー旅行
カイロで開かれたMaker Faire Africaを訪れたMitch Altmanのレポートだ。彼には大切な使命があった。ハッカースペースを普及させることだ。 - Gareth
Maker Faire Africaに開設されたスリーデイ・ハッカースペース
10月14日金曜日にカイロから帰ってきた。片付けですごく疲れたけど、まだあの余韻が熱く心に残っている。今回の旅のいちばんの目的は、カイロで開かれたMaker Faire Africaで3日間だけのハッカースペースを開設することだった。ご想像のとおり、エジプトで過ごした時間は本当にエキサイティングだった。「自由革命」によって多くの人たちが希望に燃えていた。だけど、まだ軍隊が力を持って国を仕切ろうとしていたのも確かだ。
この旅で、我々はエジプトにハッカースペースを開設する手助けをしようと考えていた。それがアフリカ全土に広がることも視野に入れている。これを提案したのはBilal Ghalibだった。彼は今年のはじめに行ったアメリカ政府との交渉に落胆し、(アメリカ政府からの予算に期待するのをやめて)自分の力でやることを、そして彼の抑えがたい情熱を、エジプトの人たちと直接分かち合うことを決めたのだ。それを実現させるために、彼はGEMSI(Global Entrepreneurship and Maker Space Initiative:国際的起業およびMakerスペース構想)を立ち上げた。そして自然の成り行きとして、世界でハッカースペースの開設を手助けしてきた私に声がかかったというわけだ。

GEMSIのロゴ(Lee Devito提供)
Maker Faire Africaは、寛大かつ積極的に私たちのプロジェクトに出資してくれた。さらに、Kickstarterのキャンペーンでも多大な支援をもらった。186人の後援者(ほとんど見ず知らずの人たちだ)から、合計で8,169ドルもの資金が集まり、国際的なハッカースペース拡大運動で喜びと希望を届けることができた。この資金は有効に使わせてもらった。
空港に到着した私たちを、カイロ・ハッカースペースの2人の中心的出資者であるTarekとDeyaaが出迎えてくれた。彼らはそれから2日間(ほとんど寝ずに)、最新のThing-O-Matic 3Dキットを組み立てることになった。これはMakerBot Industriesが寛大にも私に持たせてくれたものだ。

MakerBotを組み立てるTarekとDayee。
Maker Faire Africaでの3日間だけのハッカースペースは大成功だった。これを開設した最大の目的は、みんなで大好きなことを追求して実行できるコミュニティを持つことの素晴らしさや意義を、人々にわかってもらうためだ。彼らのエネルギーはすごかった。私は、3日間ぶっ続けのワークショップで300人ほどにハンダ付けの方法を教えた(ひとりでね。ほとんど寝ずに)。キットやハンダごての購入にはKickstarterの資金を使わせてもらった。
Manalはエンジニアの仕事をやめて、今は自分で作ったバッグや服を売っている。同じような仕事ができるように人にも裁縫を教えている。3日間のハッカースペースでも、彼女は講師を務めてくれた。

中央のManal(青いスカーフ)を囲むスカーフの絵付け教室の参加者たち。
カイロ・ハッカースペースでのThing-O-Maticの組み立ては、Faire最終日に間に合い、大人気となった。そこで、カイロ・ハッカースペースの最年少メンバー、Marwanが、自分でプリントした笛を吹いてみせた。

Marwanが、MakerBot Industriesから寄付された Thing-O-Maticで笛をプリントしているところ。

プリントできた笛をMarwanが吹いてみせた。
カイロ・ハッカースペースでは、Evil Mad Scientist Labsが寄付してくれたEgg-Botも組み立てられた。卵に絵をプリントするというのが、最高に受けた(どうしてみんな朝食に固ゆで卵ばかり注文するのかと、ホテルの人は不思議に思ったろうね)。

Evil Mad Scientist Labsが寄付してくれたEgg-Botプリンタで卵に絵をプリント。
ManalはEgg-Botでいくつかプリントをした。手描きのものもある。
3日間のハッカースペースは熱狂的だった。みんなが楽しんでくれた。もちろん、Faire全体には、もっと多くの素晴らしい展示が溢れていた。地元の人気バンドの演奏、アート、大量のLED、太陽エネルギー関連、混雑する街中での新しい駐車方式、革新的なエレクトロニクス、子どもに科学を楽しく教える方法などなど。
結果として、カイロ・ハッカースペースには大勢の熱狂的なメンバーが集まり、エジプト初のハッカースペースを支援していくことになった。そして大勢の人に、サンフランシスコを訪れたときに使えるよう、Noisebridgeの鍵も渡された。

全員にNoisebridgeの鍵が渡された。
Maker Faire Africaの前にも、多くの人たちがエジプトでがんばってきていた。カイロには、少なくともひとつの共有スペースがあったし、アレクサンドリアには、少なくともひとつの起業支援団体があった。そして、少なくともひとつのハッカースペースがカイロに誕生する。また、Startup Weekendがアレクサンドリアとカイロで開かれたこともある。でも、そうした人々はこれまで互いに交流がなくバラバラに活動していた。それが今、ひとつになったのだ!
私たちは、ハッカースペースのミートアップをカイロで2回、アレクサンドリアで1回、エニヤで1回の計4回開催した。そこでは、ただ集まったみんなに火を点けてやりさえすればよかった。あとは自分からどんどん走り出した。彼らはハッカースペースを立ち上げ、参加して、社会が敷いた線路を漫然と歩くのではなく、自分で生きる道を切り拓くことに目覚めていった。現在エジプトでは、4つの都市でハッカースペースが準備を進めている。共有スペースや起業支援団体などは、もっと誕生することだろう。私たちが滞在中に、第1回、Open Source Dayの計画が立てられた。こうした支援ネットワークを利用して生計を立てる道を探るようになると、地域経済も活性化して、多くの人が潤うことになる。

エニヤで開かれたハッカースペース・ミートアップ。

カイロで開かれたハッカースペース・ミートアップ。
ひとつ伝えておきたいことがある。エジプトには長いハッキングの歴史があるということだ。手に入るものを、最大限に活用しているのだ。その精神は、街中に溢れているコンピュータ横町や露店を見ればわかる。古いマザーボード、サウンドカード、モニタ、プリンタなどを修理して売っている。ほうぼうの露店では、ハンダごてを握った人やJTAGプログラマたちが携帯電話や固定電話の修理を行っていた。

カイロのコンピュータ街にあったマザーボードの修理店。

カイロのコンピュータ街で見たノートパソコンの修理屋。

固定電話を修理しているカイロの露店。彼らは1969年からこの仕事をしているという。

カイロで見た携帯電話修理屋の露店。
エジプトの食べ物についても書いておこう。うまい! それに安い! 私はベジタリアンなのだが、これまでに聞いたこともない料理に一目惚れしてしまった。「コシャリ」だ。ライス、マカロニ、レンズ豆、茶色に炒めたタマネギが重ねられている。これに、トマトガーリックソース、辛いソース、ガーリックレモンソースなどをかけて食べる。どこへ言っても量が多くてめちゃくちゃ美味しい料理が食べられるのだ。なんとすべて50セント!

滞在中の2週間は大忙しだった(満足な睡眠も取れなかった)が、1日だけ観光する時間がとれた。

ギザにて、MitchとBilal。Mitchはピラミッドを攻略。
私のカイロ旅行の写真は、私の Flickr feedで見られます。
- Mitch Altman
訳者から:Startup Weekend(スタートアップウィークエンド)とは、創造的な起業を目指す人たちを連携させて支援する企画。今年も11月18日から3日間、スタートアップウィークエンド東京が開かれる。
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Nov 14, 2011 12:00 AM
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November 9, 2011
O'Reilly Radarから - Dale Doughertyのホワイトハウス訪問

今日のO'Reilly Radarに、Alex Howardによるいい記事が載っていた。昨日、Daleがホワイトハウス主催の懇談会に招かれて意見を述べた。この記事には、Daleのインタビューと、ホワイトハウス会議場でのイベントのムービーが掲載されている。Daleが意見を述べるのは58:18ごろだ。ここに、彼の言葉を少し紹介しよう。
DoughertyはChopraの言葉に応えてこう述べた。「ティンカリング(tinkering、物作り、機械いじり)についてですが、ティンカリングはかつて、生活をよりよくするための中核的な技能でした。私たちは自分で家を改築したり、自動車を整備したり、いろいろなことを自分でやってきました。しかし、それが今では失われつつあります。ティンカリングは中核ではなく、異端になってしまっています」
現在は、ソフトウェアコミュニティが製造業に新しい考え方をもたらしているとDoughertyは主張する。「これは文化なんです。MakeやMaker Faireを見れば、それが新しい文化であると感じるはずです。そしてこれが、その意味を見直すためのひとつの方法なのです」これは製造業を「創造的な事業」として認識することであり、「誰かに何かを命令されるところ」ではない。むしろ「問題を解決したり、何かの答えを見いだすために招待されるところ」だと言う。
現在盛り上がりを見せてるこの文化は、Makerたちが、情熱と個人的な興味から生み出してきたものだ。「ロボットを作る人は、それを作りたいから作っている」と Dougherty。「それは自己表現であり、趣味なのです。そうした人たちを集めれば、彼らは真剣に力を合わせて、他の人たちも巻き込んでいきます」
The maker movement's potential for education, jobs and innovation is growing(英語)
- Gareth Branwyn
訳者から:Dale Doughertyは、Makeの発行人でありオライリーの共同創設者のひとり。このイベントは、ホワイトハウスで行われた各分野で活躍する人たちによる意見交換会だ。
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Nov 9, 2011 02:00 AM
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November 7, 2011
デジタルファブリケーションと手作業の職人魂は共存できるか?
すべてのハッカー、クラフター、ティンカラーの物作りの形が、デジタルファブリケーション(fabrication、製造技術)によって完全に変わってしまったと、Make読者ならほぼ全員が感じていることだと思う。レーザーカッター、CNCフライス盤、3Dプリンタは、物をデザインするときの考え方も変えてしまった。作品の品質や精度も上がった。私はそうしたデジタルファブリケーション技術の熱烈な愛用者だが、同時に、それが広く普及してくるに従って、文化的な変化も引き起こすのではないかと心配している。
先日、この問題を友人に尋ねてみたが、私は失望の声をあげてしまった。あまりにも多くの才能ある同僚たちがソフトウェアにしがみつき、頭の中のアイデアを現実にするための別のツール(編注:伝統的な工具など)を手に取ろうともしない。彼の言葉は印象的だった。「ボクはワコム(のタブレット)とPhotoshopで満足だよ。コンピュータと共に育ってきたから、ほかのもので何かを作るなんて考えられない。デジタル製造技術は自然の成り行きだから、それを使っていきたいと思う」
デザイナーがデジタルファブリケーションだけに依存するようになったら、どうなるのか? そうなったときの制約は? たしかに、それもパワフルなツールだけど、レーザーカットや3Dプリントで作られたものは、すぐに見てわかる(それを表現する業界用語がすでにデザイン会社などの間で使われている)。また、そうした機材はまだ高価なため、現場で簡単に使うというわけにはいかない。たとえば、Arduinoプロジェクト用のケースなどは作れても、家のプロトタイプを今すぐ作れと言われても困る。私はなにも、機械化に抵抗する石頭の職人というわけではない。手作業の基本を知らずにいることは危険だと思えてならないのだ。材料を実際に手に取ることで、創造的な技を思いつくこともある。ワコムとスタイラスからは生まれてこない。つまり、アナログかデジタルかという話だ。
デジタルファブリケーションとは、別々の要素の繰り返しだ。作るか作らないか、変えるか変えないか。マシンにプログラムして、出来上がるのを待つ。気に入らなければ、それを捨てて、やり直せばよい。デジタルファブリケーション技術で何かを作るときは、最初から最後まで、通常ならそれを作るのに使用するはずの工具に一切手を触れる必要がないとされている。しかし、現実はそううまくはいかない。デジタルファブリケーションで作ったものを、さらに自分で組み立てて完成させなければならない場合もあるからだ。私の友人も、Makerbot Turtle Shell RacerぐらいなものならCADで設計できる技術はあるが、できたパーツを手で組み立てて製品として完成させるための知識はどうだろう。
旋盤で木のボウルを削り出す場合と比べてみよう。鑿を木材に押し当てる強さやタイミングは自分でコントロールしなければならない。また、最適な鑿を自分で選ぶことも大切であり、鑿を研ぐという作業もある。あなたが押し当てた鑿に対して木目がどう応えてくれるかを感じながら、リアルタイムでデザインを決めていく必要もある。材料との非常に親密な対話をしながら、最終的な形ができていく。
かたや、ちょっとばかり木工の心得のある私に言わせれば、プロの仕事と呼べるほどの木工技術を身につけるためには、何時間、いや何年もの修行が必要だ。私がドリルやノコギリと苦労して過ごてきした時間は長すぎたのだろうか。もっと、Rhinoceros(3Dモデリングソフト)やIllustratorと過ごすべきだったのだろうか。木工作家でデザイナーのBen Lightはこう言っている。「新旧の技術は美しく共存できる。技能、テクニック、職人気質は、デジタルだろうがアナログだろうが、いつだっていちばん大切なものだが、ひとつの分野で自信を持てたり、熟練していれば、ほかの分野でも恐れずに仕事ができる」
私たちは Makerbot(3Dプリンタ)や Zing(レーザーカッター)と共に、後ろを振り返らず、このまま突き進むべきなのだろうか。それとも、信頼できる昔ながらの工具を取るべきなのだろうか。あまりにも進歩が早いために道を見失ってしまった。古代のミノア文明の人々や『ウォーハンマー40,00』のテンプレートコンストラクトのように、私はリスクを分散しながら、両方が心地よく混在する状態を保ちたいが、みんなはどう考えているかを聞いてみたい。コメントに意見を寄せてほしい。
- Michael Colombo
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Nov 7, 2011 01:00 AM
3D printings, DIY Projects, How it's made, Makers, Tools |
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November 4, 2011
オープンソースハードウェアはいかにKickstarterをキックスタートさせるか

朝起きたら、見ず知らずの人がまったく無断で、あなたが開発した電子回路を製品に使っていた。使用料などは一切受け取っていない。その製品の価格は31,000ドル以上もする。彼らは、あなたが心血注いで作り上げた回路で儲けようとしている。あなたの回路が、どんなものに使われるのか、あなたには手出しも口出しもできない。これって、悪夢じゃない? ある人にとっては悪夢だが、これが理想の世界だと言う人もいる。これが今週のSoapboxのテーマだ。オープンソースハードウェアがKickstarter(キックスターター)をキックスタートする!
では始めよう。:)
Kickstarterは、物を作る人たちの間で、瞬く間に大人気の高い資金源となった。世界最大の資金支援基盤とも言われている。それには十分な根拠がある。

Kickstarterの「後援者」が100万人を越えた。それだけではない。まだある。
Kickstarterの後援者たちは、プロジェクトに対して1億ドル以上もの支援を約束した。他の基金と比較してみると、たとえば全米芸術基金の2011年度の予算が1億5400万ドルだ。毎週200万ドルずつ支援額が増えているKickstarterの今のペースが変わらないとすると、1年間に1億ドル以上もの支援が約束されることになる。
このMakeでもどんどん増えている。斬新なアイデアを持ってない? それを実現させるための十分な技能がある? ならばKickstarterにプロジェクトを提出してみよう。それが彼らのガイドラインに合えば(ここに彼らの好みが関与する)、プロジェクトを公開して資金を募ることができる。資金の平均は71ドルだ。後援者の出資金額でいちばん多いのが25ドル。資金援助をすると、製品のTシャツなどのような記念品がもらえるのも、出資を促す要因になっている。

今までにいちばん多くの資金を得たプロジェクトは何か? それはAn iPod nano watchだ。ほぼ1億ドルの資金を獲得している。では、彼らのガイドラインとはどんなものか? 以下が概要だ。
- プロジェクト:Kickstarterは音楽アルバム、映画、製品など、はっきりとした目標があり、商品化が期待できるプロジェクトに資金を提供するものです。
- プロジェクトには創造的な目的が必要です。
- 慈善事業や活動のための資金は出しません。
- 「生活費をください」プロジェクトには出せません。
- 報酬:金銭以外の出資誘引が必要です。

Kickstarterには「school」というページもあり、優れた「キックスターター」になるための方法をステップバイステップで教えている。
どんなタイプがいちばん資金を得ているか? 今のところ、デザインと技術のカテゴリーだ。これは納得できる。それが欲しいかどうか、支援したいかどうかがわかりやすいからだ。
しかし、プロジェクトの多くはオープンソースだ。つまり、資金援助を受けて作ったソフトウェア、ハードウェア、回路図、コードなどは、すべて公開してしまうことになる。そこは好感の持てるところであり、優れたプロジェクトや私が好きなプロジェクトの社会性が示されるところだ。
ではなぜ、オープンソースにするのか? ただそうしたいから、という理由もあるだろうが、オープンソースのプロジェクトを利用しているからという理由もある。オープンソースを利用すれば、自分で開発する労力を削ってお金が稼げる。元のオープンソース・プロジェクトと同じライセンスで発表して、変更点を公開すればよい。ソフトウェアの場合は、これがすごく便利だ(今は世界はフリーソフトの上に成り立っている)。ハードウェアの場合も、オープン化に人気が集まっている。どうしてか? その理由は、後ほど実際のMakerに話を聞くとして、まずは私の意見を述べる。オープンソース・ハードウェアは、より多くのKickstarter利用者の原動力になりつつあるのだ。
- Kickstarterは、プロジェクトの目的を果たすための資金を援助するものだが、資金を獲得するためには、デモやビデオを作って自分のアイデアが現実的なもので実現可能であることを訴える必要がある。オープンソースハードウェアを使えば、何をしたいのかを見せやすくなる。形にするのも早い。既存のオープンソースハードウェアを使ったプロトタイプ、ブレークアウトボード、改良、改変など、オープンな設計の利用が成功につながるのだ。
- 電気の専門家はほとんどいない。アイデアを思いついてプロトタイプまで作れる人は多いが、プロの電気技師になるための時間はない。しかし、プロの技師が仕事として作った優秀なオープンソースハードウェアがあれば、みんなはその高度な技術を利用して自分のプロジェクトを作ることができる。
- 技術系プロジェクトの場合、最終的な製品にする段階で、技術者を雇ってコンサルティングを受ける必要がある。
- オープンソースのツールとソフトは無料で使えて、商用利用も可能。
- オープンソースハードウェアを作った側は、Kickstarterプロジェクトで加えられた改良点を逆に取り込むことができる。
- さらにオープンソースハードウェアを作った側は、自分のプロジェクトが、いつどのような形で使われたかを知ることができる。市場調査、フォーカスグループ、リスク管理がすべて無料で行えるということ。
- 一部には、Kickstarterプロジェクトのオーナーが、あなたのプロジェクトをベースにした製品を大量生産して販売したいので、あなたのプロジェクトも大量に作って欲しいと逆に発注されることもあるだろう。それは、クッキーのレシピを公開したら、それがあまり美味しかったので、特別バージョンで焼いて欲しいと仕事の注文を受けるようなものだ。
ここに、Kickstarterプロジェクトにオープンソースハードウェアが使われた例と、プロジェクトそのものがオープンソースであった例の中から、私が素晴らしいと思ったものを紹介しよう。
259,000ドル
76,000ドル
53,000ドル
26,000ドル
18,000ドル
8,000ドル
8,000ドル
38,000ドル
ここらで疑問に思う人もいるだろう。たしかに、オープンソースハードウェアが使われた面白い製品がKickstarterから世に出ることもあるかもしれないけど、実際にそうしている人はいるのか? 誰がそんな話をしているんだ? とね。私がそれを知っていて話をしているのか、それとも、またいつものように、オープンソースハードウェアはいいものだと扇動しているだけなのか。
そういう人は実際にいる。私はbootstrapsolar.comのRyo Chijiiwaにインタビューをした。彼は、オープンソースハードウェアを使った私の好きなプロジェクトの開発者で、最近、Kickstarterから資金を得た。それは、私も開発を手伝ったAdafruit(ニューヨークのオープンソースハードウェアのメーカー)の技術を元にしている。オープンソースハードウェアを利用したプロジェクトはたくさんあるが、そのなかでもこれは私がよく知るものであり、Kickstarterで資金を獲得できたことをうれしく思っている。
彼がどのようにしてエレクトロニクスの世界に入ったのか、そのときオープンソースハードウェアはどんな役に立ったのかを、彼自身の言葉で語ってもらおう。大勢の人から資金を集めて行うプロジェクトとはどんな感じなんだろうか。貴重なMakerの証言だ。では、Ryoにご登場願おう。
インタビューに応じてくれてありがとう。
こちらこそ、ありがとう。
まずは自己紹介を。
私の名前はRyo Chijiiwaです。ソフトウェア技師としての教育を受け、Yahoo!やGoogleなどのシリコンバレーの企業で働いていたことがあります。2009年に会社をやめて、カリフォルニアの北東地区に未開の土地60エーカーを購入しました。そこで2年間、「ミニマリストの快適性」と自分で言っているのですが、そんな生活を追求しました。それは、2軒目の小屋を建て、冬期に1カ月間、自分の土地から一歩も外へ出ずに過ごせたときに達成できたと考えています [1]。それから2カ月間、日本の震災復興ボランティアに参加したあとに、文明社会に戻ってきました [2]。
エレクトロニクスを作ろうと思ったきっかけは?
ホントのことを言って、物作りはすごく好きだったのですが、これが、中学校以来、初めてのエレクトロニクス・プロジェクトなんです(プログラミングは高校で目覚めました)。
このプロジェクトを思いついたのは、日本で3月に起きた大震災と津波の直後でした。もっとも被害の大きかった地域で、驚くほど多くの被災者が話してくれたのですが、食料、水、燃料、薬品といった必需品の次にいちばん欲しいと思ったのが、携帯電話を充電する方法だということでした。これは現代的な問題だと感じました。今ほど私たちは、あの小さなデバイスに依存している時代はありません。この現象は、高性能なスマートフォンの登場によって、さらに広まるはずです。
被災による問題は数多くありますが、これは比較的簡単に解決できるものだと感じました。私が山小屋で暮らしていたとき、唯一の電源は、ちっぽけな145Wのソーラーパネルだけでした。その程度のものでも、数台の携帯電話を充電するには十分で、安いし扱いも簡単です。100~200ドルの装置で携帯電話5台は充電できることを私は知っていました。それによって、外の世界とのつながりを保つという体験をしていました。
1カ月後、私は日本に飛び、もっとも被害の多かった地区のひとつである岩手を拠点にしたアメリカ人組織によるボランティア活動に参加しました。そこで私が行ったのは、約10名のボランティアを連れてこの隔絶された街に入り、津波に襲われた人家の中に文字通りキャンプを張りました。電気は来ていません(壁も半分ありません)。私たちは3つの拠点を作って作業しましたが、それらを束ねるためには携帯電話が必要でした。もうおわかりでしょう。携帯電話の充電にとても苦労したんです。ボランティアの1人はソーラー式充電器を持っていましたが、ほとんど使い物になりませんでした。
その後、BootstrapSolarを立ち上げようとしていたときに、あのときの体験から、ポータブルなソーラー式携帯電話充電器を作ろうと閃いたのです。ソフトウェア技術者なら、今あるものに満足できなければ自分で作るというのが普通です。エレクトロニクスの経験はほとんどありませんでしたが、それと同じメンタリティーでスタートさせたのです。
BootstrapSolar とは?
BootstrapSolarは私の会社の名前です。まったく資金のないところから自力で立ち上げるわけで(2年半無職でしたから)、文字どおり、bootstrap(ブートストラップ:自力でやること)だったわけです。ハードウェアの会社を立ち上げるには、天才であるか、資金がたっぷりあるかのどちらかでないと難しいのが実情ですが、私は天才ではないし、すっからかんでした。だから、創造的になろうと考えたのです。
事業提案書を書いたり資金集めをするより、まずは製品を作ってから自力で立ち上げていこうと考えました。ソフトウェア業界で普通にやっているようにね。最初に思いついたのは、災害時用のものです。避難所にしまっておけるキットや、災害時に配布できるものです。しかし、いろいろ考えるうちに、もっと小さくて幅広い人たちに使ってもらえるものがいいと思うようになりました。日本と私の土地での経験を元に、安価ながら実用的なパワーのあるソーラー式の携帯電話充電器を作ろうと決めました。私が作ったのはそれです。
BootstrapSolar Power Pack Kit(そのあとすぐにChi-qooと改名)[3] は、ポータブルなソーラーデバイスで、携帯電話やiPadや電子書籍リーダのような小型の電子機器に充電ができます。5Wのソーラーパネル(オプションを追加すれば10Wまで拡張可能)、6000mAh/22Whのリチウムポリマ電池、1.5Aまで対応する2つのUSBポートを備えています。竹製のケースがつきます。キットで販売する予定なので組み立てが必要です(ハンダ付けは必要ありません)。仕組みは極めてシンプルです。ソーラーパネル(またはバックアップとしてコンセント)から内部バッテリに充電します。その電気をUSBポートを使ってデバイスに充電します。
Kickstarterを使おうと思ったわけは?
自前の予算で実際に使えるプロトタイプを作ることができましたが、これを製品化して販売するには、それなりのお金がいることもわかってました。起業家の友人に相談したところ、クールなハードウェアプロジェクトがいくつも利用しているKickstarterを薦められたのです。私は、大勢から出資を募るという理想主義的な考え方も気に入りました。シリコンバレーの上場企業で働いていたとき、私は昔ながらの投資家や株主たちに幻滅していました。いわゆる「企業欲」というものが、企業が成長することによってのみ利益を得る株主たちに由来していると感じられたからです。そのため、株主は企業に成長を強要します。まるで癌のごとく、永遠に成長するようにです。役員たちは合法的に株主に資するように働くため(普通は役員自身も株主です)、こうした力学のために、企業は社会的あるいは環境的コストが高くつく仕事をせざるを得なくなります。これは準最適モデルです。それに代わるの有望な選択肢のひとつがCrowd-funding(クラウドファンディング:大衆から資金を調達する仕組み)です。これを使えば、ウォール街を回避できます。
オープンソースのハードウェアとソフトウェアは、どのように役に立った?
オープンソースのハードウェアとソフトウェアがなければ、このプロジェクトは実現していなかったと思います。私はこのプロジェクトを6月の末に開始しましたが、7月1日にOpen Source Solar Lipoly Charger [4]がLadyadaから発表されたときは、神の啓示を受けた気分でした。エレクトロニクスの経験がまったくなかったので、自分では絶対に設計できませんでした。誰かを雇って作らせるなんてことは、経済的に不可能でしたし。それがオープンソースであったことが、決定的でした。それを自分の用途に合わせて変更できるわけですから。
ソフトウェアでは、オープンソースのグラフィックソフトInkscapeで竹のケースのレーザカット用データを作りました。市販のグラフィックソフトを購入なければならなかったら、予算の4分の1は吹っ飛んでいましたよ。オープンソースではありませんが、プリント基盤設計用ソフトEagle CADや、3DモデリングソフトのSketchUpなどのフリーソフトも利用しました。
オープンソースハードウェアを元に作ったプロジェクトだけど、あなたはこれをオープンソースとして公開するつもり?
ええ、すべてのデザインをオープンソースライセンス(またはOSH互換のクリエイティブ・コモンズ・ライセンス)の元で公開する予定です。回路設計の一部は、すでにGitHubで公開しています [5]。そのほかのデータも、仕上げができ次第、公開していきます。
BootstrapSolarはクラウドファンディングの支援を受けているので、私も、支出を公にして、ビジネスのあらゆる側面をオープンに透明にする必要があると考えています [6]。これはもともと、シカゴでOpen Produce [7] という、経営の透明性を高めた食料品店を経営している友人の考えでした。
もうひとつ、先日私は、私のキットのクローンをフィリピンで大量生産したいという人から連絡をもらいました。オープンソースハードウェアだからこそ合法的に可能なベンチャーです。それでは私が損をすると考える人もいるでしょう。たしかに、私が自分で販売するキットの価格では、市場で生き残ることはできません。しかし、革新の曲線上で常に先を行っていれば、競争力を維持することができます。クローンであっても、製品を製造して発売するまでには数週間から数カ月という時間がかかります。だから、2カ月にひとつのペースで新製品や新バージョンを出していけば、常に前を歩くことができます。さらに、物作りの経験には、単に物理的な製品以上の価値があります。それがあればコピー商品に勝てると自負しています。
Adafruitの開発者、Limor "Ladyada" Friedと話したことは?
はい。彼女のソーラー充電回路に私が改良を加えたものを製造販売して、売り上げの一部をもらえないかと頼んだことがあります。これは自分の労力を減らすための策でした。私が彼女のデザインを利用したことで、彼女にも儲けがあるわけです。実現はしませんでしたが、これからも、いろいろな製品を買って彼女を応援したいと思ってます。私は個人的には、オープンソースは共有することだと考えています。私のようにオープンソースを利用するものは、どこかにその利益を還元しなければいけないと思っています。
あなたのプロジェクトの目標は?
今のところはキットの製造で手一杯です。BootstrapSolarはワンマン経営なので(インターンを2人ほど雇うことを考えてますが [8])、仕事が山ほどあります。それに、日中はフルタイムの仕事を始めてしまったので、2つの仕事をなんとかこなすことでいっぱいいっぱいです。昼間の仕事を終えると、その足でTechShopに向い、深夜に閉店するまで、BootstrapSolarの製品を作って、帰宅するという毎日です。帰宅と言っても、実は昼の仕事をしている建物の中の空き部屋です。忙しすぎて、アパートを探す時間もありません(そんな気にもなれません)。毎晩、私はKickstarterの後援者から送られるメッセージに返事を書きつつ、回路設計やレーザーカット用のデザイン変更に没頭しています。だから、当面の私の目標は工房を持つことです。それが実現すれば、もっと多くのアイデアを効率的に進めることができます。究極的には、BootstrapSolarを経済的にも環境的にも持続可能なビジネスにしたいと考えています。そしてもちろん、世界制服です。
この製品がうまくいったら、また Kickstarter を使う?
私はKickstarterの基本的な考え方が好きなんです。創造的なプロジェクトに対して最上級のサービスをしてくれると思っています。とは言うものの、私はKickstarterを、彼らが本当に意図しているのとは違う形で利用している部分もあります。なので、私が本当にやりたいと思うことができない困難もあります。たとえば、後援者のほとんどが予約を入れてくれますが、個別のオーダーに手作業で対応しなければなりません。また、後援者への報酬の形や、資金の使い方にも制限があります(たとえばカーボンオフセットの購入はできません。カーボンオフセットには「金銭価値」があるからです)。ルールのなかには「Amazonペイメント」に関連するものもありますが、特定の人の事情に合わせたルールもあるようです。
私のプロジェクトはうまくいきました(私が提示した目標の400%をわずかに下回るでした)が、私は最初、彼らの趣旨にそぐわないとして断られているのです。彼らの言うことも、ある程度はわかります。私はこの最初のキットの売り上げから、次のプロジェクトの資金を作ろうと考えています。しかし、またクラウドファンディングを利用したいと思ったときは、別のサービスを選ぶでしょう。Kickstarter以外のものがあるかどうかは知りません。なかったとしても、もっとスモールビジネスに対応したクラウドファンディング・サービスが現れるのは時間の問題だと思います。
[0] http://www.bootstrapsolar.com
[1] http://laptopandarifle.wordpress.com/project-31/
[2] http://www.youtube.com/watch?v=AwU?meig7k
[3] http://www.kickstarter.com/projects/ryochijiiwa/bootstrapsolar-portable-power-pack-kit
[4] http://www.adafruit.com/products/390
[5] https://github.com/ryochiji/BootstrapSolar
[6] https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AvQAiC0IZUdbdHU2V3BRZkNTUEo4cmNfMTFRZHVOeXc&hl=en_US#gid=0
[7] http://openproduce.org/
[8] http://bootstrapsolar.tumblr.com/internships
Kickstarterは最初のクラウドファンディング・サービスではないことを指摘しておきたい。最後でもない。あのスターバックスもサービスを検討中なのだ。以下はスターバックスの CEO、Howard Schultz の考えだ。
アメリカ人は、スターバックスを仲介者として、自らのスモールビジネスを支援するようになる。スターバックスは、スモールビジネスへの投資を目的とした金融サービスを開始する。スターバックスの客は、コーヒーを買う際に寄付ができる。5ドル以上の寄付をされた方には、赤と白と青のリストバンドが贈られる。それには「Indivisible」(不可分)というSchultzの言葉が刻まれている。「これによってアメリカンドリームが誇りを取り戻すことを期待している」とSchultzは語っている。キャッチフレーズはこうだ。「アメリカ人がアメリカ人を支援する」
最後に、愛のあるこのKickstarterプロジェクトを紹介しておこう。
Makerムーブメントが広がるにつれて、私たちはいくつもの目標を達成してきた。作ったものを共有する方法(MAKE magazine / MAKE blog / Maker Faire、Make: Projects、Instructables)、人と出会って物を作る場所(ハッカースペース、TechShops、ミートアップ、DorkBots)、作るためのツール(Inkscape、MakerBots、レーザーカッタ、gEDA、kiCAD)、作ったの物を売る方法(Etsy、キットビジネス、Maker Shed、直販)、そして、プロジェクトの資金を得る方法(Kickstarter)もある。夢に描けば作れる。そして今やそのための資金も得られる。それが現実になった。さらに、オープンソースハードウェアを使えば、それを利用すると同時に、元のデザインに価値を還元することもできる。今、私が興奮しているのはその点だ。オープンソースハードウェアがもっと増えれば、Kickstarterにもさらに素晴らしいプロジェクトが登場するはずだ。
- Phillip Torrone
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Nov 4, 2011 12:00 AM
Green, Makers, Open source hardware |
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October 17, 2011
Zero to Maker(ゼロからのMaker):プラスティックの国を冒険

これから1カ月ちょっとの間、ちょっとヤル気のなかったMaker、 David LangがMakerカルチャーに身を沈め、我らの仲間、TechShopの寛大なるご協力のもと、できる限りのDIYスキルを習得していく様子をレポートします。彼は、何を学んだか、誰に会ったか、どんなハードルをクリアしたか(またはしなかったか)など、奮闘努力の過程を定期的に報告します。きっと面白いものになるよ。 - Gareth

MakeのPlastics monthを記念して、私もZero to Makerの旅でシリコンの世界を訪れた体験を披露したいと思う。「非 Maker」(というより「未Maker」と呼ぶほうが好きなんだけど)にとって、プラスティックは天啓となり得る。私たちは、いかに日常の品々を簡単に作れるようになるかを知って驚き、世の中のじつに数多くの品々がこうやって作られているのだと知ることで物の見方も大きく変わる。そんな驚きの世界に目を向けさせてくれるのだ。
プラスティック工作の初体験は、TechShopの
Tom Twohyが作ったお面。彼のブログでもっと多くの作品が見られる。
YouTubeやWikipediaでもRTV(室温硬化型ゴム)の成形方法は学べる。型を作り、主材と硬化剤を混ぜて、型に注ぎ込むというものだ。しかし、Tomのような人間から直接教わらないかぎり、情熱を感じたり、想像力を刺激されることはない。彼は、じつに慎重に準備を行い、細かい精度にこだわりを見せる。それが、無言の教えとなって伝わってくる。プラスティックの硬化時間を使って、彼は最近のプロジェクトをいろいろ見せてくれた。お面の型、新しい携帯電話のケース、GI ジョーの複製などだ。それぞれが異なる素材や成形方法を使っていて参考になる。お面では、彼自身がプラスティック成形でいかに生計を立てているかを教えてくれた。携帯ケースでは、この技術の実用性を、GIジョーではどれほど細かいものが作れるかを、それぞれ示してくれた。また、射出成形やバキュームフォームなど、その他のプラスティック成形のクラスやツールについても話してくれた。
OpenROVのモータの防水実験。左から、防水なし、シリコン絶縁保護コーティング、シリコンスプレー。
この日の夜、私の頭の中にはプラスティック成形やバキュームフォームの新しいアイデアが飛び交っていた。意外なことに、私の次のプラスティック体験は、このクラスで語られた技術や応用方法のどれにも当てはまらないものだった。まさにその翌日、TechShopでEric StackpoleとZack Johnsonを交えてOpenROVの会議を行ったのだが、船体に搭載するブラシレスモータの防水方法を緊急に考えなければならないとEricが持ち出した。Ericは数多くの設計変更の問題を抱えていたので、これはZackと私で対処することになった。Zackはいくつかの案を出したが、最良の案は外部の人に相談するというものだった。会議のあと、私たちはTechShop内を歩いて、私たちよりも経験が豊富だとZackが目星を付けたドリームコーチやショップの会員に相談してみた。
注:今のところ、私にとってこれがTechShopの最大の魅力だ。ここには文化とコミュニティがある。ドリームコーチは、みな一応に自分の専門外の技術の経験や知識を持っていて、会員たちも、広範な知識を持っている。工具も素晴らしいが、ここの魔法はコミュニティの中にある。すぐに、いくつもの案が揃った。とくに興味が引かれたのは、いろいろなタイプのシリコンスプレーを試すという案だった。それがモータの防水問題を解決してくれるものかどうか、Zackと私は、さっそく実験してみることにした。
Zachは週末いっぱいを使って、この実験を続けて(さらに拡大して)くれた。実験の中心になったのは、シリコンの型剥離剤のスプレーとシリコン絶縁保護コーティングだった。その結果を、Zackが素晴らしいレポートにまとめてくれたので、興味のある方は、こちら(英語)をどうぞ。
これまでの話とおまけ:
- David Lang
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Oct 17, 2011 12:00 AM
Education, Makers |
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October 13, 2011
Makersは世界を変えられる


Steve Jobsの冥福を祈る。あなたと、あなたの自家製コンピュータ仲間と Appleコンピュータが、技術を通して私たちの生活を根本から変えてしまった。それも一度だけではない。あなたとAppleはガジェットで魔法を起こした。MacBook Airを初めて手に取ったときは、文字通り息をのんだ。一般消費者向けの技術で息をのむことなんて、私には滅多にないことだ。
予約注文しておいたiPad 1を手にしたとき、それを届けてくれたFedExの配達の女性は、私が受け取りにサインをしている間、興味深げに私の荷物を見ていた。私たちは普段、「こんにちは」とか「ありがとう」ぐらいしか言葉を交わさないのだが、私がサインを追えると彼女が立ち去りかけたが、突然、堪えかねたように「それ何!?」と私に尋ねた(会社の規則を犯してまで客の荷物の中身を聞きたかったという様子だった)。私が中身を告げると、彼女は体の力を抜き、急に雄弁になった。「やっぱり! いいわねー! 私もそれ、すっごく欲しいのよ」と、まるでクリスマスの日の子供のような笑みを浮かべた。「使った感じを教えてね。わくわくするわ」と言って去って行く間、彼女は笑みを浮かべていた。私も同じぐらいわくわくしながら家に入り、箱を開けた。これがマイクロソフトやデルや、たとえソニーの製品であっても、配送業者が興奮して中身を聞くようなことがあるだろうか。ないことはないだろうが、本当に希だろう。
「本当に発達した技術は魔法と区別がつかなくなる」 - アーサー・C・クラーク
「自分の仕事は、自分の人生の大半を満たす。そこで本当に満足を得る唯一の方法は、自分が素晴らしい仕事をしていると信じることだ。そして、素晴らしい仕事をするための唯一の方法は、自分の仕事を愛することだ」 -スティーブ・ジョブズ 1955-2011
魔法をありがとう。そして、Maker仲間の閃きが、どこまで大きく発展できるかを示してくれて、ありがとう。
- Gareth Branwyn
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Oct 13, 2011 12:00 AM
Computers, Makers |
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September 29, 2011
Zero to Maker(ゼロからのMaker):レーザーカッターを習う

これから1カ月ちょっとの間、ちょっとヤル気のなかったMaker、 David LangがMakerカルチャーに身を沈め、我らの仲間、TechShopの寛大なるご協力のもと、できる限りのDIYスキルを習得していく様子をレポートします。彼は、何を学んだか、誰に会ったか、どんなハードルをクリアしたか(またはしなかったか)など、奮闘努力の過程を定期的に報告します。きっと面白いものになるよ。 - Gareth

「これはほんの手始めです。紙のほかに、ガラスを彫り込んだり、アクリルを切断したり、皮に焼き付けたりもできます。チョコレートに模様を描くこともできます」と、私のTechShopのドリームコーチで、このZero to Makerの旅の案内人であるZackは説明を続けた。彼は今日、レーザーカット基礎コースの代理講師を務めている。
「ちょっと待って。チョコレートって、ウソでしょ?」と、私は彼の言葉が信じられずに聞き返した。「レーザーで溶けないの?」
「いや、きれいにできますよ。私は、チョコレートにレーザーで絵と詩を彫って、去年のバレンタインデーのプレゼントにしたんだけど、彼女は私がギラデリのチョコレート工場で特別な型を作って、それをこしらえたんだと思い込んでましたよ。だけど、それは仕事が終わったあと、ほんの5分間で作ったものだったんです。フリーザーのチョコレートを冷やしてあるから、あとでみんなで試してみましょう」とZackは答えた。
そして実際に、受講者全員が、自分の名前をレーザーで彫り込んだチョコレートをほおばることとなった。
この旅を始めたときは、そんなにすぐにはクールなものを作れるようにはなれないだろうと予測していた。いろいろな工具や製作技術を見せられても、それを自在に使いこなせるようになるまでには何年もの訓練を要するものだと覚悟していた。ところがうれしいことに、TechShopのレーザーカット教室は、そんな考えを吹き飛ばしてくれた。
最初は、みなさんのご想像どおり、安全に関する注意、機械の概要説明(スイッチのオンオフ、レンズの掃除、方向など)で始まったが、そのあと、Zackは私たちに2台のマシン(彫刻用と切断用)を自由に使わせてくれた。学習プロセスとして、これほど簡単なことはない。なにせ初めてのことだから、私は少々当惑した。CADやらなにやら、技術的な知識や体験がなければ扱えないものだと思い込んでいたから、ちょっと怖かったのかもしれない。しかし、そんなことはまったく関係なかった。マシンはAdobe IllustratorやCorel Drawに連動して動く。文字をタイプしたり、絵を描いたり、または画像を読み込んで、それをマシンに送ればいいだけのことだった(多少の調整はあるが)。
使い方の簡便さもさることながら、レーザーカッターでできるアイデアが頭の中に大量に浮かんできたことには驚いた。財布をカスタマイズしたり、私が予定している焼き物プロジェクトの型を作ったり、Zackのアイデアをいただいてガールフレンドにチョコレートをプレゼントしたり。このレーザーカッターの体験は、OpenROVプロジェクトにも貢献した。OpenROVの発案者であるEric Stackpoleは、ROVのフレームを1枚の1/4インチ厚のアクリル板(24×18インチ)から切り出して作れるように設計を変更した。主要部分を熱で曲げるだけで、あとははめ込み式で組み立てられる。いくつものパーツを作ったり接着剤を使ったりする手間がなく、コストは大幅に削減できた。これはプロジェクトの目標のひとつだ。それにこれなら、早く簡単に、いくつでも作れる。
TechShopの レーザーカット基礎コース(Laser Cutter SBU)は2時間の講習で料金は60ドル。これで自分の人生にレーザーカットという創造の選択肢が加わる。レーザーカッターというものがまだよく理解できない人にも、ぜひお勧めだ。このマシンの能力を知れば、創造性が格段に広がる。
ところで、Nortd Labsは、オープンソースのレーザーカッター、Lasersaurの開発を進めている。近い将来、一家に一台レーザーカッターという日が来ないとも限らない。今のうちに使い方を習っておいて損はない。
これまでの話はこちら:Zero to Makerの旅
- David Lang
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Sep 29, 2011 01:00 AM
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September 16, 2011
Zero to Maker(ゼロからのMaker):外からの意見を聞くことの大切さ

これから1カ月ちょっとの間、ちょっとヤル気のなかったMaker、 David LangがMakerカルチャーに身を沈め、我らの仲間、TechShopの寛大なるご協力のもと、できる限りのDIYスキルを習得していく様子をレポートします。彼は、何を学んだか、誰に会ったか、どんなハードルをクリアしたか(またはしなかったか)など、奮闘努力の過程を定期的に報告します。きっと面白いものになるよ。 - Gareth

で、これで動くかな?」と私は、少し心配そうな顔で(しかし好奇心と期待を込めて)尋ねた。
「難しいね」とZack。「でも、私たちでなんとかうまい方法を見つけられると思うよ。それに、これはすごくいい勉強になるはずだよ。こう考えてみたらどうだろう......」
こうして、私が指名した TechShopの「ドリームコーチ」Zack Johnsonとの会話が始まった。私がずぶの素人であることをまず説明してから、OpenROVプロジェクトの目標と、9月17日にニューヨーク市で開かれるWorld Maker Faireに、爆弾投下装置を披露したいことを伝えた。Zackは電気工学が専門だが、TechShopのドリームコーチはみな、そこにある工具の使い方に精通している。彼にわからないことがあっても、それに詳しい他のドリームコーチを紹介してもらえる。今まで、OpenROVは私の友人、Eric Stackpoleによる独創的な発明だったのだが、機械工学専門の彼には限界があった。加えて、何ひとつ技術的専門知識がない私は、ひとつもプロジェクトの力になれずにいた。思い通りの動作するプロトタイプの前に立ちはだかる壁を越えるには、外部の知識と、私の勉強が必要だった。Zackは私たちの2つのチャレンジを理解してくれて、いっしょになってプランを考えてくれた。
この初会合で、私は彼に、このプロジェクトの目標と、技術的問題点(私が理解できる範囲で)、そして私が学ぶべきだと自分で考えた事柄について話した。彼の助言は、まさに私が求めていたものだった。Zackは、何をすればよいかを教えるだけでなく、なぜそうするのか、そして、そこから学びとることが、プロジェクトを完成させることと同じぐらい重要であると教えてくれた。私たちは、やるべきことを大きく2つのカテゴリーに分けた。「クラス」と「ワークフロー」だ。クラスは、私が作業についていけるようにする学習時間だ。ワークフローは、OpenROVのプロトタイプをMaker Faireまでに完成させるためのスケジュールだ。私が受けるクラスには、レーザーカット、電子工作、CNC(これが何なのかすら私は知らなかった)、Autodeskのソフトウェア、Arduino、シリコン型製作などだ。彼は、金属のフレームを作ることになったときのために、溶接クラスも受けておくようにと助言してくれた。これらのクラスを受講することに、私は大変に興奮したが、ワークフローによって自信も得られた。これが私にいちばん欠けていたものだ。ZackはEricから直接説明を聞いたわけではなかったのだが、チャレンジに立ち向かうための彼の秩序だった思考プロセスは、とても参考になった。以前、弁護士からこんな話を聞いたことがあった。法律専門学校のいちばんの目的は、弁護士的な考え方を身につけさせることだと。事前情報がほとんどない問題に取り組むためのプロセスをZackから聞かされたとき、技術者にも同じことが言えるのだなと私は思った。
Zackの細かい話はほとんど理解できなかったが、彼のやり方とEricのやり方には、少しだけ違いがあることはわかった。ここは、3人で会って話す機会を作るのがベストだと考えた。
1週間後、私たちは時間を工面して集まることができた。私はまず、この会合の目的を説明し、EricとZackの問題解決の作戦に少々違いがあることを説明した。その後は、私は椅子の背にもたれかかり、2人がすぐさま高揚してワケのわからない専門用語を応酬する様を眺めていた。それでも、話の流れはなんとなくわかった。彼らは「ああ、そうか。それはいい考えだ。私の案よりもそっちのほうがいいね」といった言葉が双方からしきりに飛び出した。私はまた、ときどき彼らの話を止めて、難しい専門用語を門外漢にもわかる言葉に置き換えるという重要な役割も果たした。これは、とてもいい頭の体操になった。この会合は大変に実りあるものとなった。そんなこんなで、私たち3人は、Maker FaireまでにOpenROV 2.0のプロトタイプを完成させられると、確信を持つことができた。
次回は『Zero to Maker:レーザーカッターを習う』です。
これまでの話はこちら:Zero to Makerの旅
- David Lang
[原文]
Posted by Tetsuo Kanai |
Sep 16, 2011 02:00 AM
Education, Maker Faire, Makers |
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