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February 22, 2011

サイエンスフェアの参加者が減っている理由は?

ニューヨークタイムズ紙の記事、"It May Be a Sputnik Moment, but Science Fairs Are Lagging"(スプートニクな時期のはずなのにサイエンスフェアは遅れている)によれば、学校の科学の授業が少なくなったために、サイエンスフェアに参加する子供たちが減っているという。科学や技術に大きな関心を抱かせようとする教育方針は、テストを重視しすぎる標準指導モデルのために迷走している。

記事にはこう書かれている。

サイエンスフェア真っ盛りのシーズンながら、高校生の参加者は減少傾向にある。その原因は、注目度の低さではなく、サイエンスフェアが求める創造性や自主的な探求心を犠牲にして、数学や読解力の成績向上を目指すオバマ政権の教育方針にあると多くの理科教師は考えている。

統一テストを過度に偏重するあまり、教師にも生徒にも歪んだ誘因が植えつけられ、国中がテストに取り憑かれてしまった。良い教育とは、"標準化" された教育であると歪曲して認識されるようになった。「実験から学ぶ」ための時間が学校でとれなくなれば、生徒たちは学べなくなるも同然だ。「教科書で科学を学ぶ」学校が非常に多くなっている。これは退屈であるだけでなく、もはや科学ではない。(宗教なら1日中、本で学べるが)

標準化とテストへの依存度が大きくなれば、学校はますます意味を失い、子供たちは学校の外で本当の勉強をしなければならなくなる。フィンランドの教育に関するこの記事 "The Children Must Play"(子供は遊ぶべき)を見てほしい。フィンランドの学校では、遊びとアートとクラフト、体験を通した学習を奨励している。フィンランドではテストの依存度が非常に低い。アメリカの教育者にとれば、テストというシステムから遠ざかることなど想像もつかないだろう。それどころかアメリカでは、テクノロジーを使って標準化とテストへの依存度をさらに高めようとしている。この記事で「創造的で自主的な探求」と表現されているこうした勉強法は、社会から軽視されるようになるだろう(言うまでもなく、この探求心こそが物作りの原点だ)。

サイエンスフェアの参加者が減少している原因はほかにもある。毎年、ごく小数の突出した生徒が素晴らしい展示を行い全国的な賞を受賞して称賛を浴びている。それはよいことだが、そのほかの参加者たちはどう感じているのだろうか? または、サイエンスフェアに参加しようなどと夢にも思わない子供たちは? 地方で開かれるサイエンスフェアでは、すべての子供たちが科学を探究し発見ができるよう、参加の間口を十分に広げて迎え入れる態勢ができているだろうか。サイエンスフェア事態が型にはまってお役所仕事的になっていないだろうか? そして、主催者たちが科学に対する視野が狭まっているのではないかと心配になる。

サイエンスフェアをもっとオープンで楽しいものにするには、どうしたらいいのだろうか。サイエンスフェアを改革するには、どうしたらいいのだろう。Maker Faireから学べることはないだろうか?

- Dale Dougherty

訳者から:このなれの果てが日本の教育でありんすね。今もますます数値至上主義で本当の教育から逆行爆走中! 政府の方針というより、親の意識でしょう。

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Feb 22, 2011 01:00 AM
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February 18, 2011

チャレンジャーを偲んで

Christa_McAuliffe.jpg無重量訓練をするクリスタ・マコーリフ。

私がこの世界に入るずっと前から、自分のやりたい仕事を見つけるずっと前から、私は宇宙飛行士になりたかった。

別に珍しいことではない。Makerのみんなも、人類の想像が及ぶかぎり遠くまで探検してみたいと思ったことは、一度や二度はあるだろう。私は、数学者だった父から、ニール・アームストロングとマイケル・コリンズとバズ・オルドリンがアポロ11号で月に着陸したとき、どこにいたかという話をずっと聞かされて育ってきた。地球から打ち上げたロケットを、38万キロ彼方のターゲットに寸分違わず着陸させたエンジニアリングの離れ業と、そこで活躍した数学に夢中だった。あれはガソリンスタンドで働いていたころで、父が月着陸のニュースが知らされたとき、街からは歓声が聞こえてきたそうだ。その話を父が夕食の席でするときの、大げさな身振り手振りを今でも思い出す。

今から25年前の今日、パークアベニュー小学校の生徒だった私は、他のクラスメートといっしょに教室に集められた。そこへ、古いコートハンガーをアンテナ代わりに使ったボロボロのテレビ(テレビ番組がまだ無料で見られたころだ)が運び込まれた。そんなことは滅多にあることではなかった。だから私たちは胸を躍らせた(昼間からテレビが見られるなんて、最高にラッキー! とね)。先生たちも興奮してチャンネルを合わせると、発射台に載せられたシャトルのざらざらの映像が現れた。教室に軽い電気が流れているような感じがした。私たちは椅子の上で落ち着きなく身もだえしながら、先生たちはうれしそうに微笑みながら、カウントダウンを聞いた。そして間もなく、シャトルは発射した。

今思うと、どうして小学校の先生たちが、チャレンジャーの打ち上げにあれほど興奮していたのかと言えば、第2ペイロードスペシャリストとして、ニューハンプシャーの社会科教師クリスタ・マコーリフが搭乗していたからだ。彼女は、"宇宙を飛んだ初めての学校教師" になるはずだった。いやそれよりも、どんな社会的地位の人も、彼女に共感していたからだ。彼女は、誰もが手の届くところから始めて、やがては大きな偉業の立役者になれるということを、身をもって証明してくれたのだ。

しかし、様子が変だ。何が起こったのか、よくわからなかった。覚えているのは、先生の顔だった。彼女は組んでいた腕をほどき、テレビに身を寄せた。顎がこわばっていた。誰かが息を呑むような、叫ぶような声をあげた。するとひとりの先生がテレビに駆け寄りスイッチを切った。みんな黙っていた。そして私は、わけもわからず泣きだした。しかし泣いているのは私だけではなかった。

あのときの記憶は私の中で眠っていた。もう子供のときのような感情とは縁が切れていた (あるいは、そう思っていた)。しかし、2003年2月1日、よく思い出せないがなにかのカンファレンスの準備でホテルに泊まっていたときだ。テレビが付いていて、なんの気なしに見ていたニュースから、テキサス上空でコロンビアが空中分解して7人の宇宙飛行士全員が死亡したと気かされた。あのときの感情が戻ってきた。私はベッドに座って泣いた。今、これを書いている間も、何かがこみ上げてくる。

ケネディ大統領暗殺のときのことを覚えている一世代前の人たちと同じように、私たちの世代はチャレンジャーが爆発したとき、どこで何をしてたかを覚えているようだ。私も、ハッキリと覚えている。テレビの画面で、晴れ渡った空に稲妻が枝を伸ばしたような、白い煙の尾を引く2つの破片を不思議そうに見ていた。その日、そのあと何をしたのかはよく覚えていないが、私が学校から帰ると、ちょうど父も仕事から帰ってきて、私を抱きしめてくれた。私がそうしてほしいことを、父はわかっていたのだろう。あの日のことは決して忘れられない。

ここで、私の座右の銘でもある、NASAのフライトディレクターで宇宙開発のヒーローのひとり、ジーン・クランツの言葉を引用したい。これは、アポロ1号の火災のあとに、彼のチームに対して行ったスピーチだ。私は、何かに行き詰まると、何度も繰り返し、これを思い出すことにしている。そしてこれは、偉業への道が、失敗の石畳でできるということを、いつも思い出させてくれる。

宇宙飛行には、不注意と無能と怠慢を許容する余地がない。私たちは、どこかで、なんかしらのミスをおかした。それは、設計段階、製造段階、テスト段階のいずれであってもおかしくない。どこでミスが発生しようとも、私たちは、それを突き止めるべきだった。スケジュールを気にするあまり、毎日の作業で目にする問題を、考えないようにしてきた。計画の中のあらゆる要素が問題を引き起こし、私たち自身もトラブルを抱えていた。シミュレーターは動かず、ミッションコントロールは事実上あらゆる分野で遅れていた。そして、飛行とテストの手順が毎日変更された。長続きするものは何ひとつなかった。私たちの中に、「まずい、ちょっと待て!」と叫ぶ者がいなかった。トンプソンの委員会はどのような原因を探し出すかわからないが、私は、私なりに原因を突き止めている。原因は、私たち自身だ! 私たちは準備不足で、自分のやるべき仕事ができず、サイコロを振って、打ち上げの日までに物事がうまくまとまって、なんとかなるよう念じていただけだ。しかし、私たちは心の中で、奇跡が起きない限りそれはあり得ないとわかっていた。我々はスケジュールをこなしていた。ケープのほうが先にしくじるに違いないと期待していた。


本日から、フライトコントロールは2つの言葉で称されるよになる。"タフ" と "コンピーテント" だ。タフとは、我々はつねに、我々の仕事に、そして我々が置かした失敗に責任を持つということだ。もう二度と、自らの責任に妥協はしない。ミッションコントロールに入るときは、かならず、我々の信念を自覚するのだ。コンピーテントとは、何ものも満足しないということだ。知らないことがあってはならない。技術が及ばないことがあってはならない。ミッションコントロールは完璧になるのだ。今日、この会議が終わって全員がオフィスに戻ったら、何よりもまず、"タフ・アンド・コンピーテント" と黒板に書け。そして、絶対にそれを消すな。毎日、オフィスに入るたびにその言葉を見て、グリソムとホワイトとチャフィーが払った犠牲を思い出せ。その言葉が、ミッションコントロールの入場料だと思え。

宇宙へ飛び出すために、すべてを捧げようと決意した人たちに敬意を払いたい。あなたたちは、私たちの夢を明らかにしてくれる。そして、ときには命を賭けてまで、創造、探検、刺激への欲求を満たそうとする複雑な人類の精神の相互作用のなかで、最高の姿を体現してくれる。

訳者から:1986年1月28日、覚えてます。休職してニューヨークに住んでいたとき、朝、テレビを付けたら真っ青な空に白い雲のようなものが写っていて、音声がしばらく出なかった。その瞬間は、誰もしゃべってなかった気がする。最初は、何が起きたのか、ぜんぜんわからなかった。

- Stefan Antonowicz

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Feb 18, 2011 01:00 AM
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February 9, 2011

市民を「センサー」にするアプリ

fireapp1.jpg fireapp2.jpg

MZ_CitizenScience-Badge2.gif質問です。心臓発作を起こしたとき、助けてくれる人を誰かひとりだけ選ぶとしたら、10キロ以上離れたところにいる救急隊か、心肺蘇生術の訓練を受けたご近所さんか。どっちが正解?

あなたの命に関わることだからね、もう少し情報をあげましょう。心臓発作を起こしたあと、脈拍が早く正常に戻らなければ、脳障害や、悪くすると死んでしまうことがある。生還のためのタイムリミットは10分だ。

生き残りは時間との勝負。心肺蘇生術を正しく行えるご近所さんのほうが、救急隊を待つ間にもいち早く処置ができる。この、ほんの数分の差でも、命に関わるのだ。

ということで、カリフォルニア州のサンラモンバレー消防局(SRVFPD)は、iPhoneで場所を知らせるアプリを公開した。これを見て、訓練を受けた市民が急行するという仕組みだ。

この発表会に出席したTim O'Reillyの言葉。

モバイル端末が私たちの生活を一変させたことは、みなさんご承知のとおりです。緊急の通信方法、場所の特定方法、警告の基盤システムを整備することで、公的機関が到着するまでの間、命に関わる事態に市民が対応できるようになります。このアプリを開発した人たちは、リアルタイム(逐次)のウェブを、ライトタイム(適時)のウェブに進化させたのです。

詳しい内容とアプリ開発に関する話はO'Reilly Radarの記事にあります。

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Feb 9, 2011 12:00 AM
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February 8, 2011

イギリスの技術者が自分の大動脈のインプラントを自作

GolesworthyImplant.jpg

たしかに、Tal Golesworthyは高名な医師グループのひとりで、医療映像技術の専門家として相談を受ける立場にいる人だけど、彼はこう書いている。「もしダモクレスのメスが胸骨の上に吊されていたとしたら、なんとかしようと思うだろう。だからそうしたのだ」 運命的な診断から手術が成功するまでたったの2年。インプラントは、Golesworthyの心臓のデジタル画像を元に設計され、ラピッドプロトタイピング技術で製作された。詳しくはこちらをどうぞ。The Engineer(英語)。[Boing Boingより]

- Sean Michael Ragan

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Feb 8, 2011 12:00 AM
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January 31, 2011

太陽系の果てを行くボイジャー 1

voyagerSS.jpg

ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所のStamatios M. Krimigisとボイジャーの使われなかったバックアップユニット(Jed Kirschbaum, Baltimore Sun/January 17, 2011)

めちゃくちゃクール。Facebookにポストしてくれてありがとう、Michael Doyle

去年の6月、Krimigisのチームは、ボイジャー 1の計測器に背後からぶつかっていた太陽粒子がなくなり、正面から当たるようになったことに気がついた。太陽粒子は、ボイジャー 1が太陽から遠ざかるのと同じ速度(秒速17キロ)で、車のフロントガラスに当たる虫のようにぶつかってくる。


それは、太陽から放射される太陽粒子の速度がゼロになったことを示していた。研究者たちはそのデータを半年にわたって調査したが、変化はなかった。「我々は、定常状態に入ったと確信した」とKrimigisは語った。

計測器は、ボイジャーにまっすぐ正面から当たる粒子を観測し続けている。太陽粒子と星間粒子の混合だ。しかし、何が起きているのか、まだ正確にはわからない。

「これらの物質は消えてなくなるはずだった。でもまだ存在している。これとはまったく異なる星間空間に出たというより、まるで、太陽風が渦巻く広大な空間に入ったといった感じだ」と彼は言う。

本当の星間空間は、もっと何年も、何億マイルも先にあるのかもしれないと、研究者たちは言う。

「次の10年には、確実にそこへ出るだろう」とNessは語る。研究室の観測機器が示す粒子の数がゼロかそれに近い数値になったときにそれがわかる。

ボイジャーならそれを達成できるとNessは信じている。「いつかはそうなる。ただ問題は、それをNASAが観測できるかだ」

2025年のある時期に、2つの宇宙船の送信が止まる。そして、4万年かけて、ボイジャー 1は地球の外交官として、北の夜空に輝くキリン座の星々の中に到達する。ボイジャー 2は、シリウスに向かっている。空でいちばん明るい星だ。到達まで29万6000年かかる。

Voyager 1 at edge of solar system APL instrument still running after 33 years(英語)

- Gareth Branwyn

訳者から:ヴィージャーになって帰ってくるんじゃなかったのか。

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Jan 31, 2011 01:00 AM
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January 18, 2011

レーザーカッターでプリント基板

wooden_circuit_board_prototype.jpg

lasercutting_circuit_boards.jpg

MITのタンジブルメディアグループのJean-Baptiste Labruneと彼の研究チームは、レーザーカッターを使って日常の材料からプリント基板を作る研究をしている。そこには賢い技がある。レーザーで金属を切るのはとても難しい。そのため、金属板をレーザーで切り抜くという手法はとらなかった。その代わり、金属以外の素材にマスキングテープを貼り、電気を通したいところにレーザーで溝を掘るようにした。この溝に導電性の塗料を筆で塗り込み、テープをはがすのだ。これを作る工程の写真がFlickr setで見られる。[ありがとう、Akiba!]

- Matt Mets

訳者から:おお! これで簡単にプリント基板が作れる! レーザーカッターがあればの話だけど。

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Jan 18, 2011 12:00 AM
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January 14, 2011

ISSが月と太陽を横切る奇跡のシャッターチャンス

legault-iss-moon.jpg

legault-iss-sun.jpg

どちらの写真も、フランス人天文写真家のThierry Legaultが地上から撮影したもの。

上の写真は、ISSが満月を横切るところ。フランスのアブランシュで、2010年12月20日、協定世界時21:34に撮影された。もちろんISSは月よりもずっと地球に近いところを飛んでいる。対地速度は秒速7.5キロ。つまり、ISSが満月を通過する時間は、わずか0.55秒ということ。Legaultはそれを承知で準備を行い、撮影に成功した。

次の写真は、さらに衝撃的。月の部分日食とISSのダブル食だ。左下に月がかかり、右上にISSが見える。右下の黒い点は太陽黒点。地球よりも大きい。この写真も、シャッターチャンスは0.86秒。2011年1月4日、協定世界時9:09に、オマーンのマスカットで撮影された。ここでもLegaultは慎重な計画のもと、正確な場所で正確な時間にシャッターを切った。

Legaultのウェブサイトには息を呑む天体写真がいっぱい。見たらしばらく頭がボーっとするのでそのつもりで。 [Neatoramaより]

- Sean Michael Ragan

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Jan 14, 2011 01:00 AM
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December 20, 2010

電気ウナギでクリスマスツリー

日本の三縄和彦が考案した(下の訳注参照)この装置は、電気ウナギでクリスマスツリーを点灯させるというもの。ファンタスティック!

Boing Boing より]

- Matt Mets

訳者から:三縄和彦さんは新江ノ島水族館の広報の人だね。電気ウナギのクリスマスツリーはアクア・トトぎふでもやってます。

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Dec 20, 2010 12:00 AM
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December 1, 2010

電子レンジの中のマイクロ波を目で見る

neon_microwave.jpg

電子レンジに入れた食品が均等に温まらないのはナゼかって気になったことない? サンフランシスコに住むMakerのZeke Kossoverは、電子レンジの庫内のマイクロ波の様子を視角化するために、アクリル板に小さなネオン管を並べるという賢い方法を編み出した。

マイクロ波は目に見えないので、電子レンジの中で何が起きているのかは見てもわかりません。しかし、ネオン管を使えばその分布状態を見ることができます。マイクロ波が電磁場に変化するとき、荷電粒子が動きます。するとネオン管の金属の足の中の電子が動いて電流となります。それがネオン管を光らせるのです。

- Adam Flaherty

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Dec 1, 2010 01:00 AM
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November 26, 2010

大炎上をもたらした風力車(製作者のJack Goodmanにインタビュー)

Jack Goodmanインタビュー(聞き手:Mark Frauenfelder)

日本語版編集から:日本語版に掲載した前回の記事「追い風より速く走る風力車、Blackbirdが記録を樹立」

風力車シリーズの第三弾にして最終回。追い風よりも速く走る風力車のビデオを製作して走行の様子を撮影したフロリダ州のJack Goodmanのインタビューだ。Goodmanのビデオ(アマチュア・ヨット研究協会によって2007年にアップされた)は、それが実現可能であるかに見えた。このビデオがYouTubeで話題になるや、それを信じる人たちと、Goodmanが間違っている、または人を騙していると疑う人たちとの間で大論争が巻き起こった。

2009年8月、私はJack Goodmanを訪ね、あの実験について詳しく話を聞いた。

Mark Frauenfelder(以下、MF):ビデオを見ました。ウェブでもアマチュア科学愛好家の間でも嵐のような話題になりましたが、いつから追い風で走る車の製作をされているのですか?

Jack Goodman(以下、JG):AYRS、アマチュア・ヨット研究協会をご存じですか?

MF: このことを調べ始めてから知りました。数年前に、そこのニューズレターに掲載されたあなたの報告書を読みましたよ。

JG:そう。私はそこの会員でね、そこでも、それが可能かどうかという論争が1年以上続いていたよ。大多数の人間は不可能だ言っていた。論争に論争が続く間、私も最初は不可能だと思っていたんだが、どうすれば可能かと考えるようになった。それが、考え方が切り替わった瞬間だった。しっかりとした見地に立って考えれば、それが実現可能であることは明白だったんだ。

可能であることを私が解明すると、協会ではそれを実現させた者に賞金を贈ろうという話が持ち上がった。そこで私は、第一号になってやろうと、あの車を製作したんだ。私は協会にあらゆるデータを提出し、ロードテストやルームランナーでのテストを重ねた。

しかし協会からダメを食らってしまった。十分な立証にはなっていなかったんだ。彼らは実際に走るところを見て確かめたいと言うので、私たちは実験に適した平らな場所があるフロリダに行った。

そこで1、2カ月待たされることになった。風向と風速のちょうどいい風を得るのが、とっても難しかったからだ。たとえば、1時間に10マイルの微風でも、車は12から14マイルに速度を上げる。そうすると付いて行けなくなる。

私はカメラとラジコンのコントローラーを自転車に縛り付けた。私は自転車のブレーキを握っていたので、車は妻に押し出してもらうことにした。私はブレーキを離し、一緒にスタートした。一瞬、風が止んでしまったが、またすぐに吹き出した。風が止まっていた間、私は転ばないようにハンドルを操作しつつ、自転車に固定したカメラに車が収まるように位置を調整していた。もう一度、車を押し出してもらい、私は車との位置を合わせながら走り出した。

ビデオはひどい出来だったよ。もっとよく撮ろうと思えば撮れたのだが、あのときは人に見せるつもりはなかったからね。私はこのビデオを証拠としてAYRSに送ると、彼らはそれをインターネットで公開し、多くの人の目に触れることになった。YouTubeにもアップされたよ。私がアップしたんじゃないんだ。

MF:カートはよくできていますね。サーボとラジコンを組み込んだのはいいアイデアだと思います。模型製作の経験がおありで?

JG:私は技術コンサルタントであり冒険家なんだよ。コンサルタント業の一環として、実験用器具の製造も行っている。だから、あの車は、ほぼ手持ちの材料で作ったんだ。模型作りをやる人だったら、ウチの地下室を見たら大喜びするだろうね。ミルや旋盤やプレス盤も揃っていて、グレードAのベアリングや、歯車やベルトの箱がたくさんある。あんたも、あれを見たら飛び上がるよ。

MF:すごいですね。あの風力車が実現できると思ったのは、なぜですか? 論点になっているのは、途中から向かい風になるわけで、そのときは風の力が得られなくなるというところですが。

JG:基本的には、プロペラが描く回転面から得られるエネルギー量の問題なんだ。あれには32インチ(80センチ)ほどのプロペラが付いている。出力は数ワットに過ぎないが、一定量のエネルギーを生み出す。あとは、対地速度と対空速度。それだけだ。車が動いているのか地面が動いているのかは、この際、問題ではない。この2つの速度の差こそが重要であって、どちらが動いているかは関係ないんだ。

直径32インチの円盤に時速10マイルの風を当てると、それだけでエネルギーが得られる。その量のエネルギーを使って時速12マイルで走れる車を作れば、追い風よりも速く走るはずだ。これがひとつの見方だ。単純明快に機能するはずだ。

もうひとつの見方は「飛行機の翼」だ。重量1000ポンドの飛行機も、100ポンド以下の推力で浮かせることができる。どんな飛行機もこの10対1の比率で飛行できる。飛行機の翼はプロペラの羽根と同じだ。それ自体の重さの10分の1の力で空気中に押し出してやれば浮上する。そのとき飛行機は、上がりも下がりもせず、同じ高さで安定飛行する。

この飛行機を垂直に立てると、空中停止することになる。向かい風も追い風もなく、風からエネルギーは得られない。重量と推力の比が1対1なら、プロペラを回転させて空中に浮かんでいるのに必要な浮力が得られるというわけだ。

ただしプロペラの場合、10対1は難しい。だが、3対1なら簡単だ。またそれは速度に依存する。私が追いつけなかった理由のひとつはそこにある。停止状態のプロペラは、揚抗比の効率は最低だ。しかし、ひとたび新しい空気の中に進み始めると、効率は跳ね上がる。そのため、追い風よりも速く走るようになれば......いい言葉が見つからないが......新しい空気を「加工」するわけだ。

そうなると効率はさらに上がり、加速する。それが始まると、それまで車を押し出していた物から切り離され、新しい空気を相手にするようになる。ただし、忘れてならないのは揚抗比だ。プロペラの揚抗比は1対1以上でないといけない。1対1だったら、風と釣り合うだけの力しか得られないからね。

ここでは言葉を慎重に選ばなければならない。空気力学の研究者たちは、空気に逆らって押し進むことはできないと憤るからだ。どのブログを見ても、そう書かれている。しかし、彼らはある面で間違っている。なぜなら、片側の気圧が大きく、もう片側の気圧が低いとき、前方から空気を吸い込み、後方に押し出すことは可能だからだ。ここでみんなは意味論に陥り、感情的になり、本当の問題を見失ってしまう。だから、あんなに混乱しているんだ。

ともかく、揚抗比が1対1のとき、車輪には十分なエネルギーがある。道はルームランナーと同じだ。それがプロペラを回す。1対1だと、プロペラは風の中で同じ位置に留まる。そして十分な......いや、そうじゃないな。実際、車輪がプロペラを回しているんだよ。よく聞いてほしいんだが、決してプロペラが車輪を回しているのではない。追い風が車輪を回して、追い風より速く走っているわけじゃないんだ。車輪を回す力を得るためには、車がルームランナーから落ちないように手で押さえていないといけない。

その力とは、揚抗比が1対1のときにプロペラが生み出す力だ。プロペラをその場に留まらせる力と、まったく同じものだ。

たとえば、時速4マイルのルームランナーでは、プロペラはその場に留まるだけの力を作る。反対向きにしても同じだ。なぜなら、ルームランナーが車輪を回転させているからだ。その状態でも1対1だ。車輪やベアリングや歯車のロスもすべて含めて1対1。もっとも、それらのロスはごくわずかだがね。この車にはすべてボールベアリングが使われている。すべての箇所にね。車輪にはスケートボード用のものを使っている。世界でもっともハイテクで高効率な車輪だからだ。信じられないかもしれないが、スケートボードの車輪には莫大な開発費用が掛かっている。だから非常に効率的なんだ。

ウチのガレージは10フィートあたり1インチの坂になっている。車は、そこを転がり降りる。それだけ抵抗が少ないということだ。すべてのベアリングはグレード7。ベルトも特別なもので、最高に効率の高いタイミングベルトだ。力を伝える上で、もっとも効率的な手段だ。歯車よりもずっと上だよ。

ともかく、そんなわけで揚抗比は1対1以上でないといけない。私が計算したところでは、時速10マイルでは、だいたい1.5対1だ。プロペラを回すために車に1ポンドの力を加える必要があるとした場合、これで加速していく。しかし、プロペラは何も押し出さない。ただ時速10マイルで回転しているだけだ。プロペラの回転の摩擦やなにやらを含めて、だいたい1ポンド。この設定で説明しよう。

MF:いいですよ。

JG:この時点でプロペラの推力は1.5ポンド。無風の状態で揚抗比は1.5対1だ。これが走り出すと、2から3対1に上がる。

MF:なるほど。

JG:動いていないとね。止まっていると効率は最低になる。

MF:わかりました。そこでひとつ質問なんですが、YouTubeとか物理学者のフォーラムとか、いろんなところで交わされている会話をご覧になりましたか? 多くの人が論議していますが、あなたがそれに加わっているのを見たことがない。

JG:一度だけ、ディスカバリーチャンネル(オンラインフォーラム) に参加したことがあった。ちょっとだけ言い分を書いたんだ。しかし、私はむしろ気楽に構えて話を聞いているほうが好きなんだよ。十分に楽しませてもらったよ。これで一銭だって儲けたわけじゃない。隠居の身だしね。金を使わずに、これほど楽しめたことはなかったよ。

MF:それはいいことですね。インターネットではsporkという名前で知られているRick Cavallaroと連絡を取ったことはありますか?

JG:ああ、あれを製作したほとんどの人が私にアドバイスを求めて連絡してくるよ。何人もいる。そのうち3人か4人の人たちは成功している。そのなかの1台は、なかり賢い構造になっていた。私も感銘を受けたよ。2つの車輪から歯車を介して斜めのシャフトでプロペラを回す仕組みだ。これには、ほんとうに感心した。

MF:それを見て私も確信したんですよ。本当に風の中で作動してましたから。丸い風洞を作って、その中で小型の車がくるくると走り回る......

JG:いや、それは見てないな。

MF:そのビデオをメールで送りますよ。風を起こしている羽根よりも速く走り出す様子がよくわかります。吹き流しが付いているのですが、それが私には決定的でしたね。

面白いのは、物理学や航空工学の修士号や博士号を持っている人たちの間で、いまだに可能か不可能かという論争が続いていることです。私は機械工学の学位を持っていますが、世界でいちばんダメな技師だったもんで、ジャーナリズムに転向しました。だから、この原理を示力図にして説明する人がいないのを不思議に思っているんです。そんなに難しいことですか?

JG:難しいが、それほどでもない。私は示力図の描き方を知らないんだよ。私は工学技士ではないし、いや、エンジニアなんだが、公式のエンジニアとは言えないんだ。それでも、これまでずっと機械工学の仕事をしてきた。十分に稼がせてももらったよ。水上の家を2件、ヨットも2艘持ってる。じつに幸運だったよ。

MF:それはよかったですね。

JG:高校しか出ていないが、エンジニアをやってきた。ちゃんと勤め上げてきたよ。レーザーを発明した人間とパートナーだったこともある。まあ、我ながらよくやってきたって話だ。学位はないし、示力図も作れないが、基本的な考え方は、揚抗比だよ。それを動かすのに必要な力以上の浮力を風から得る。そこをよーく考えれば、それが完璧な説明だということがわかる。それに、車輪がつねにプロペラを回しているということもね。

ヨットに乗ったとき、またはヨットの原理を考えるとき、大抵の人は風がヨットを押すのだと考える。風が止まっていて海が動いていると考えられる人は少ない。それが発想の転換だよ。誰かが言っていたが、もし光の速度で移動できたなら、相対性原理も普通に理解できるようになる。

どうしたら実現するか、それを考えていたときの転換点もそこだった。車輪でプロペラを回す。プロペラで車輪を回すのではない。そこに気づけば、すべては完全にクリアになる。

MF:実験はもう終わったのですか?

MF:終わったよ。車はフロリダにある。私はメリーランドに住んでいるのだが、冬の間だけフロリダにいる。見たいという人がいれば、屋根裏から引っ張りだすよ。車体はラップして、プロペラは形が美しいので壁に掛けてある。ゴージャスな芸術だよ。

MF:ご自分の工房で作られたのですか?

JG:そうだよ。ただ、自分の目を使わなくてもで作れる方法を考えなければならなかった。私は目が悪くなったので引退したんだ。だから、細かく見なくても作れる方法が要だったんだよ。

MF:この風力車とあなたの実験について、また新しい記事を作らないといけませんね。長年続いてきた論争に、新たな一石を投じるために。

JG:こいつはよく、バウアー・マシン(1960年代後半にアンドリュー・バウアーが風力車を製作した)と呼ばれるんだが、あれはうまく作動しなかった。[このビデオを参照

MF:そうなんですか?

JG:ああ、彼が作った車は走った試しがない。公開実験もしていないんだ。というか、実際に走ったとしても、それを公表していない。

MF:それは面白い。

JG:そう聞いてるよ。

MF:ほう。

JG:しかし彼は動くと信じていた。ただ正しく理解していなかったのだと思う。いずれにせよ、私がいちばん楽しんだのは、そして実際に私の興味を惹きつけたのは、追い風よりも速く走らせるための技術的な側面ではなかった。私が興味を持ったのは、どうしてそれが人々を怒らせたり悩ませたりするのかという感情的な側面だった。私はペテン師呼ばわりまでされたが、それをじっくり楽しんだよ。しっかり受け入れてね。

MF:[笑]

JG:だけど、これが人々の想像力を少しばかり捻ることになった。私にとって、それは素晴らしいことだった。技術的には、ひとたび理解してしまえば、大したことではない。むしろ退屈なぐらいだ。

ディスカバリーチャンネル (フォーラム)では、駐車場に出て行って誰かをボコボコにぶん殴りたくなったという人間がいた。そういうことは避けなければいけない。だから私は大人しくしているんだよ。しゃしゃり出ていくより、ただ眺めて楽しんでいたいんだ。

MF:とは言っても......

JG:しかし、あれはフロリダにある。見たいという人がいれば、いつでも歓迎するよ。面白いのは、不可能だと主張して暴力的になる人間の中で、現物を見たいと言ってきた人はひとりもいなかったことだ。その可能性を信じる人は、べつに現物を見なくてもいい。そして絶対に見たくないという人もいる。本当に面白いよ。

MF:面白いですねぇ。何かを作ろうともしないで自分の考えを決めてしまう人とたくさん出会ってこられたわけですね。もしフロリダに行く機会があって、そのときあなたもそこにいたら、ぜひ見せてくださいね。

JG:大歓迎だよ。南西フロリダだからね。

MF:いいところですね。

JG:フォートメイヤーズの北だよ。こっちが寒くなったら、あっちにいる。

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関連:このほかの風力車シリーズの記事

- Mark Frauenfelder

訳者から:やあ、そうだったか。スッキリ。MTM06でも指摘していた人がいたけど、ビデオをよく見ると、プロペラの回転方向が、前からの風を受けて前進するようになってるんだよね。

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Nov 26, 2010 03:00 AM
Science | Permalink | Comments (1)

November 17, 2010

追い風より速く走る風力車、Blackbirdが記録を樹立

201011041335風力車 Blackbird。写真提供:Steve Morris

序文
Mark Frauenfelder

2007年、Makeのプロジェクトエディター、Paul Spinradが風で走る車のビデオの YouTubeリンクを私に送ってくれた。これは、フロリダのJack Goodmanという人が作った風力車が、追い風よりも速く走行しているように見える映像だった。追い風よりも速く走るなんて、あり得るのだろうか。我々は戸惑った。そこで、Paulと私は外部編集者のCharles Plattに実証実験を行わせて、その結果をMakeの記事に書いてくれと頼んだ。

Charlesは小さな車を製作したが、追い風より速く走らせることはできなかった。Charlesはその記事(Make英語版 Vol.11。日本語版 Vol.04に翻訳記事が載っています)にこう書いている。「Jack Goodmanは、この件に関して巧妙な説明を用意しているだろう。あるいは、彼のものとまったく同じに作らなかった私が悪いのかもしれない。真偽を確かめるには、みなさんが自分で作って試してみるほかはない」Goodmanに担がれたのだとCharlesは結論づけた。

この記事の掲載号が発売されるや、Makeの掲示板は(これや、これや、これや、これなど) DDWFTTW(Directly Downwind Faster Than The Wind:風より速く風下に走る)の理論的、現実的な可能性の議論で燃え上がった。私に電子メールをくれた人たちもいたが、その中に、Rick Cavallaroがいた。彼は、Makeの記事で製作した車の設計上の誤りを指摘してくれた。そして私たちは、Jack Goodmanの設計を正しく理解していなかったかもしれないと考えるようになった。私はRickに追跡調査記事をMakeに書いて欲しいと伝えた。ただし、私がその後の調査を行い、Rickが納得のいくDDWFTTWの実証実験に成功したらという条件だ。Rickは快諾してくれた。そしてそれから数カ月間、私は彼の研究成果を待ちわびた。

その間、私は風力車のマニアや懐疑論者や物理学者やJack Goodmanとも連絡を取り合うようになった。そこには明らかな意見の一致はなかった。物理学者たちからはDDWFTTWは不可能だとも言われた。しかし、私の心はだんだん提唱者側に近づいていった。

そして2010年7月、Rickから知らせが入った。彼とその仲間たちは、彼らが製作した風力車を南カリフォルニアにあるエルミラージュのドライレイクに持ち込んで走行テストを行い、風速の2.8倍の速度を記録したというのだ。このテストは、北米ランドセーリング協会(NALSA)の公式立ち会いのもとに行われた。これには説得力がある。そこで私は彼に執筆を依頼した。以下が彼の記事だ。

DDWFTTWは可能か? 2007年には信じなかったが、2010年の今、私は信じている!

Make英語版編集長 Mark Frauenfelder

夢を叶えた風力車

Rick Cavallaro

真後ろからの風を受けて、その風の力だけで風より速く走り続ける風力車を作ることは可能だろうか?

私は数年前にそんな疑問を抱いた。いくつかのベクトルを試してみた結果、それは製作可能だと確信するに至った。しかし、感覚的にはどうにも受け入れがたいものであるため、私はカイトサーフィンのフォーラムとラジコンヘリのフォーラムに考えてみてほしいと質問を投げてみた。

驚いたことに、私の答えを信じる人は非常に少なく、たいていは、私のベクトル解析を受け入れてはくれなかった。

しかし、もっと驚くことがあった。Andrew Bauerという航空技術者が、1960年代に、まさにその車を作っていたのだ。ただ、Bauerが自作の車の横に立っている写真が数枚あるだけで、それ以上の証拠がほとんどない。Bauer自身が、わずかな時間、追い風よりもある程度速く走ったと主張している以外には信頼に足る資料もない。

次なる驚きは、Jack Goodmanという男性が実際に動く模型を製作したと知ったときだ。これは現在、インターネットで大変な論争になっている。Goodmanはヨット仲間に証明してみせたかっただけなのだそうだが、仲間のひとりがインターネットにビデオをアップしてしまったのだ。

これは火に油を注ぐだけの結果となった。インチキだという批判が起こった。ヒモで引っ張っている、下り坂だった、風は真後ろから吹いていない、風が一定でないなどなど。Goodmanはこうした批判に反論するためのビデオを作って公開することもできただろうが、私たちの調査が進むにつれ、それは容易なことではないとわかった。それをしても、信じる人が増えるとは思えない。

2007年、Makeは「夢が叶わななかった風力車」と題したCharles Plattの記事を掲載した。この記事はGoodmanのビデオをもとに書かれたものだが、Goodmanはインチキだと結論づけている。

windCart_2.jpg
小型の実証模型。写真提供:Rick Cavallaro

苦労して学ぶ

2年以上もインターネットで論議が続き、私の古いハンググライダー仲間 John "JB" Bortonは、みんなを説得したければ、自分たちで作って疑いを晴らすしかないと私に訴えてきた。そして、私たちはそうすることにした。

疑いを晴らすためには、道が平坦であること、風が一定に吹いていること、下り坂ではないこと、ヒモで引っ張っていないことを証明するために、私たちは厳しい条件のもとでテストを行い、資料を製作することにした。飛行機ならば風洞装置を使うところだが、風上ではなく、風下に向かって走る車なので、私たちの実験には、むしろ、ごく普通のルームランナーが相応しかった。

道の上に風を吹かせるかわりに、私たちは空気の下の道路を動かすことにしたのだ。これには、ガリレオとニュートンとアインシュタインがこう言って応援してくれた(というか、もっとも基本的で誰もが認める物理法則なのだが)。車の視点から見れば、どちらもまったく同一の条件であると。

もし、水平なルームランナーの上で車が同じ位置を保つことができれば、それは追い風と同じ速度で走ることの証明になる。ベルトの動きに逆らって前に進めば、追い風より速く走ることの、とってもわかりやすい証明になる。

もちろん、部屋の中に風が吹いていないのだから、この証明は無効だと言う人もいるだろう。だが、これはあくまで車の視点から見たときの条件なのだ。自転車に乗って追い風とまったく同じ速度で走っているときは、まったく風を感じないではないか。

ビデオはネバダ州アイバンパーのドライレークで2日間にわたって撮影した初走行の様子。

この小さな車は、私たちの予測とまったく同じ走りを見せた。平らなルームランナーの上で停止しただけではない。ベルトの動きに逆らって前進したのだ。ルームランナーを最大角度まで傾けてみたが、それでも車は前進した。

それでもまだ、信じない人はいる。そこで、彼らを招待してテストを披露することにした。カメラで周囲を撮影して、扇風機もヒモもないことを見せた。ルームランナーの前と後ろに吹き流しをつけた。車の前に扇風機を置いて向かい風を当ててみた(これはリクエストがあったからだ)。ここまでやっても信じない人たちがいた(Plattもそのひとり。著名な物理学者や航空技術者もいた)。

結局、私たちは、車を製作するところから詳しいビデオを作って公開することにした(パート1パート2パート3)。これなら、誰でも同じ車を作って自分で実験ができる。部品代は40ドル程度だ。テキサスでは、私たちの設計をもとに高校生のグループが車を製作してくれた。なんと20ドル以下の予算でだ。結果はどうだったって? この実験で、科学フェアに優勝したそうだ。

フルスケールに挑戦

すべての人を説得できないまま、ハンググライダーとカイトサーフィンの季節が近づいてくると、JBは人が乗れるフルスケールの車を作ろうと言い出した。外の自然の風で走らせて、信頼できる人たちに立ち会ってもらおうというのだ。私たちは、そうすることにした。

Joby EnergyとGoogleから資金協力を得て、私たちは重さ約200キロ、高さは、直径5メートルのプロペラの先端までで約7メートルという車両を製作した。そして私たちは、北米ランドセーリング協会(NALSA)に対して、スピード記録の、追い風を受けて風よりも速く走る車両の部門を作るよう提案した。それから数カ月間、NALSAと共同で作業を進め、ついに、2010年7月2日、カリフォルニア州モハベ砂漠のエルミラージュ・ドライレークにて、追い風の2.8倍というスピード記録を樹立したのだ。

201011041307風力車 Blackbird。写真提供: Emilio Castano Graff

それでもまだ信じない人たちがいるが、いまだに地球が平らで人類は月に行っていないと信じている人たちもいるぐらいだから仕方ない。ここで私たちは、今回の実験結果と、何人もの人々の信念を変えられたことに満足することとした。そしてなにより、「夢を叶えた風力車」で記録を打ち立てるきっかけを与えてくれたMakeに感謝したい。

201011041308
風力車 Blackbird。写真提供: Steve Morris

Makeの精神と科学的探求心を持つみなさん、ぜひ私たちのビデオを見て車を作ってください。簡単に作れます。もし、どうしても追い風よりも速く走るということが信じられないならば、とにかく自分で確かめていただきたい。

ビデオ
ビデオは、エルミラージュでの走行中に、Richard JenkinsがJBのトラックの荷台に乗って撮影した。
アイバンパーでの初走行
アイバンパーでの2回目の走行
アイバンパーでの最後の走行
ディスカバリーチャンネルで紹介された Blackbird。
NALSA による世界記録の公式発表。

今後、風力車の提唱者と反論者に関する記事をMake: Onlineに掲載します。次回は、あの話題の人 Jack Goodmanのインタビューを掲載する予定です。--Mark Frauenfelder

編集者より:Make英語版 Vol.11でこの風力車について記事を書いたCharles Plattに反論のチャンスを与えました。彼の答えを下に掲載しました。その下は、Charlesに対するRick Cavallaroの答です。

風に向かって走る車は、プロペラの回転を適正なギヤ比で伝えてやれば実現できると思っています。私が信じがたいと感じたのは、追い風を受けて、停止状態から走り出して、やがて追い風と同じ速度に達し、さらに加速し続けて風速を超えるということ、言い換えれば、風速の変動もなく、途中でギヤチェンジすることもなく、完全な向かい風の中を進めるということです。それが、あのフロリダのオリジナルのビデオが示そうとしていたことであり、論争はそこから始まりました。今でも私は、あのフロリダのビデオは作り物だと思ってます。

Rick Cavallaroの車について、私はよく知りません。興味もありません。それは、Rickが私を憎んで見下して口汚くののしっていることや、上で述べたように、あの車が風に向かって走るものであれば信じられるという点が原因しています。私がMakeの最初の記事のために作った簡単な車でも、大型扇風機の強力な風に向かって走ることができました。繰り返しますが、私が信じられないのは、彼の車でも、その他の車でも、停止状態から追い風を受けて走りだし、風速と同じになるまで加速し、途中で何もせずに、さらに加速を続けて風よりも速くなるという点です。

私はそこをクリアにしたいがために主張を続けてきたのです。 -- Charles Platt

Platt氏は現実の結果を拒否し続けているように思えます。それは、私が彼を「憎んで見下して口汚くののしっている」と信じているからでしょう。皮肉なことに、私たちは物を見る基準が違っているだけで、状況は似ていると感じました。私が立っている場所から見れば、Plattから私への電子メールは、悪口と蔑視のスタイルを保っています。たぶん、この点に関して私たちは、双方正しくもあり、または間違ってもいるのでしょう。

残念なことに、Plattの記事は、真面目な人間(Jack Goodman)への不当な攻撃となってしまいました。彼に直接コンタクトを取ることも、彼の実験を再現することもなかったため、私には不公正に見えました。私の唯一の望みは、記録の樹立でした。NALSA(信頼できる独立した非営利団体)が承認した結果を受け入れられないPlattや他の多くの人たちとは違い、私は現実を受け入れることができます。これはこれとして認めて、どうかこれ以上公衆の面前でケンカをするのはやめましょう。-- Rick Cavallaro

訳者から:にゃんか、後味悪い結果になっちゃったなー。2007年の記事はボクが訳したんだけど、そのときは、ぜったいあり得ないと思っていた。あのときボクも車を作って実験したんだけど、作り方がヘボかったからうまくいかなかった。でもこの車、ぜひ作って確かめてみたいね。

- Mark Frauenfelder

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Nov 17, 2010 01:00 AM
Education, Science | Permalink | Comments (3)

November 10, 2010

混ぜた色が元にもどる驚愕の逆エントロピー実験

私は自他共に認める科学者だが、このSteve Spangler Scienceのビデオを見たとき、コンピューターから飛び退いて、十字を切って、画面に聖水をぶちまけたい気分になった。この映像は私に、ジョン・カーペンター監督の1987年に作られた知られざる名作ホラー映画「パラダイム」の中のこんな台詞を思い起こさせた。

「そして我々は時間は矢のごときものだと思っている。時計のように、結果の前に原因がある。果物は腐り、水は下流に流れ、人は生まれ、年を取り、死ぬ。その逆は絶対にあり得ないと......

ただしそれは、層流条件のもとでシステムが安定している場合に限られるようだ。熱力学第二法則に逆らうものは、この現実には存在しないが、液体の振る舞いに関する人間の本能的感覚は、ほとんどが乱流条件のもとで形成されているため、そう見えるのだ。 [ありがとう、Alan Dove!]

- Sean Michael Ragan

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Nov 10, 2010 03:00 AM
Chemistry, Education, Science | Permalink | Comments (0)

November 9, 2010

放射線量をつぶやく

20101018081635.jpg

kshojiさんをフォローすると、時折「過去6 時間の放射線検出数 : 平均 16.23 cpm. 標準偏差 4.29 cpm. データ数 360 でした」 というつぶやきがあらわれます。Strawberry LinuxのUSBガイガーカウンターキットとMacをArduinoを使って接続し、Perlスクリプトでtwitterに書き込んでいる模様。「急激な値の変化(上昇)時に即時Tweetする」機能も実装が検討されているようです。それを読んだらちょっとドキッとするかも。

ガイガーカウンターのカウント数をTwitterに投稿するアプリを作る

Posted by Takumi Funada | Nov 9, 2010 03:00 AM
Arduino, Science | Permalink | Comments (0)

November 8, 2010

Rocketmanの空飛ぶ棺桶

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MZ_DIYSpace-Badge.gif
ハロウィンにぴったりの(終わっちゃったけど:訳注)ニュース。Ky Michaelson(通称ロケットマン)と、モデルロケットの伝説 ブルース・リー(いや、あっちのブルース・リーじゃなく)が打ち上げたのは、古いサーフボードで作った実物大の棺桶のロケット「Flying Coffin of Dead」(死の空飛ぶ棺桶)だ。KyはMakeの表紙を飾ったこともあるから知っている人も多いだろう。また「Make: Ultimate Workshop and Tool Guide」特別号にも登場する(この本の詳しい情報は後日)。ブルースも、長年にわたり、高出力モデルロケット界のリーダー的存在だ。この2人が、今年の6月に、カリフォルニア州ルサーンにある無水湖で開かれたLDRS(大型で危険なロケット)イベントでこいつを打ち上げた。M-2400モーター1基を搭載したこの棺桶は大空に飛び上がり、爆発した。その道筋で慌てふためくあらゆるものを死出の旅にひきずり、やがて木片と化した。

LDRS 29 Day Four saw the range open early, close late[Rocketry Planetの記事](英語)

- Gareth Branwyn

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Nov 8, 2010 02:00 AM
Flying, Science | Permalink | Comments (0)

November 2, 2010

ブルックリンの父子による宇宙計画

ニューヨーク市のブルックリンに住むLuke Geissbuhlerと息子のMaxは気象観測用気球にカメラをぶら下げて成層圏まで打ち上げた! 彼らはこれをブルックリン宇宙計画と呼んでいる。[FREEwilliamsburgより]

Make英語版本誌より
JB_spaceprobe_make.png
Make英語版 Vol.24には、文:John Baichtal、イラスト:James Provostによる「Weather Balloon Space Probes」という記事が掲載されている(54-55ページ)。デジタル版でも読めます購読してね。

- Becky Stern

訳者から:感動したっ!(古い?)

原文

Posted by Tetsuo Kanai | Nov 2, 2010 01:00 AM
Imaging, Science | Permalink | Comments (0)

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